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「うおっ!?」  自宅のドアを開け、思わず奇声を発してしまった。マンションの廊下に、何かトゲトゲしたものが撒き散らされている。しかも、俺の部屋の前だけに、だ。 「何だこれ……」  乾燥キクラゲのようにも見えるが、運搬中に袋が破れでもしたのだろうか。  こんな朝っぱらから?  あたりを見回すと、階段の壁から半分だけ顔をのぞかせている何者かと目が合った。数メートル先で、明らかにこちらの様子を窺っている。 『なかまに なりたそうに こちらをみている!』  そんな懐かしいフレーズが、ふと脳裏をかすめた。 「あの、」  俺の声を制すように唇に人差し指を当て、その人物が廊下に姿を現す。 「サンタクさんですね。私は怪しいものではありません。レンタル忍者株式会社から参りました、くのいちです」  いや、怪しいだろ。人ん()の玄関前にキクラゲばら撒いといて。  しかもなんつった? 「レンタル忍者」?  足元を見てから顔を上げる。と、目の前まで来た彼女がまだ高校生くらいに見える美少女であったことに、俺は少なからず動揺した。 「このキクラゲは、一体……」 「キクラゲではありません、まきびしです!」  心外だとでも言いたげに、自称くのいちが反駁する。真剣な表情だが、胸の前に作った二つの拳が、なんだか可愛い。
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