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「ゆたか」
「え?」
「このあいだ、聞いたろ? 俺の名前。三宅、由隆だよ」
「ゆたか、さん……」
あやめは大きな目をパチパチさせて、小さな手を胸の前で組んだ。俺の名前を胸に留めておきたい、そんな動作に見えて、こっちの胸が熱くなる。
「それで、」
大人の余裕を見せたいけど、気の利いた言葉なんか思いつかない。俺は勇気を振り絞って、一世一代の告白をした。
「キミの気を引きたい場合、俺もまきびしを仕掛ければいいのかな?」
【了】
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