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先輩と一緒に作った夕飯を済ませ、順番にシャワーを浴びた後、オレたちはリビングにあった2人掛けのソファーに座り、ビールを飲みながらテレビを見ていた。
先輩がオレの肩にもたれかかるように体重を預けてくると、先輩の髪からほのかに柑橘系の良い香りが漂ってくる。
「私の思った通り、涼介くんの部屋って余計な物がほとんど無いって感じね。私の部屋は基本的に散らかっているから、涼介くんを見習わないといけないわ」
「そんなことないですよ。先輩が来るから、帰ってくるなり速攻で片付けたんです。普段からマメに掃除したりもしませんよ」
先輩に言われた通り、オレのアパートのリビングにはテレビやソファーなどの基本的な家具しか置いていない。色もほとんどが白とかベージュなど、あまり色彩に富んでいるとは言い難いインテリアだった。きっと、先輩の部屋はきちんと家具の色合いとかデザインなどが統一されているのだろうと思う。
「ほら、たまにあるじゃない? 彼女が彼氏のベットの下からエッチな本を見つけてしまうってシーン。涼介くんはそういうのは無いのかしら?」
「無いですよ。試しにベットの下を覗いてみてください。高橋みたいに、堂々と部屋の中にそんな物を置いたりはしませんよ」
「ふふ、そうよね。本当にあったらどうしようかってリアクションに困っちゃうところだったわ。涼介くんは、あまりそういうことに興味は無さそうだから」
「無い……って言ったら嘘になるかもしれませんけど。少なくとも、先輩に対してはそういうことを考えたりします」
「あら、お世辞? さてはビールを飲んだからって酔っ払ってるな? お姉さんをからかったらダメだよ?」
「いや、先輩こそだいぶ飲んでるじゃないですか。ほどほどにしておかないと、明日に響きますよ?」
「明日は日曜日だから大丈夫よ。涼介くんだって、お休みでしょ?」
お互いに程よくアルコールが回り、心地良い眠気が襲ってくる。
先輩はオレに体重を預けたまま、時折顔をオレの首元に埋めるようにしていた。先輩の柔らかな体が押しつけられ、自分の体の至るところに先輩の肌が触れ合っていく。自分では何とも思っていなくても、体は正直なようだった。
「っ……涼介くん? こら、あまり年上の彼女をからかわないの。思わせぶりなことしちゃダメよ?」
「いや、これは、その……」
自分の下半身に血流が集まってきているのを自覚したオレは、気がつくと先輩の体と自分の身体が密着し合っているのに気が付いた。どうやら、知らないうちに先輩のことを抱き寄せてしまっていたらしい。
欲望の塊の存在に気が付いた先輩は、少しだけ唇を尖らせながら振り向いてくる。ちょっとだけ困っているような、それでいてちょっとだけ期待しているような、そんな表情でオレのことを誘っているようだった。
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