第2章:予期せぬ遭遇

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 瀬川先生と桐ヶ谷さんと一緒に夕食を堪能して部屋に戻る。まさか泊まっている部屋が隣であるという、更に驚かされるオマケが付いていた。先生たちは部屋に備え付けられている露天風呂に入るということで、2人で部屋の中へと消えて行った。 「それにしても、すごい偶然ね。こんなこと、滅多にあることじゃないわね」 「そうですね。鉢合わせしたのがあの2人で良かったです」  先輩と2人で、窓際に備え付けられていた椅子に腰掛ける。小さな木製のテーブルを挟んで向かい合わせに座り、ポットに入っていたお茶を飲みながら、テーブルの上の皿に置かれていた茶菓子を食べる。  窓からは眼下に聳える昔ながらの街並みが一望出来ており、見晴らしか絶景だった。そんなところで入る露天風呂は、とても気持ち良いだろう。 「瀬川先生と桐ヶ谷さん、とてもお似合いだったわね。すごく息も合っている感じだったし、お互いがお互いのことを分かっているような感じだったわ」 「付き合い始めてから数年くらい経っているらしいですからね。年齢的にも、結婚を考えるような歳なんですかね……確かに、あの2人ってとてもしっくりきている感じでした」  2人で料理を配り合ったり、お酒を絶妙なタイミングで注ぎ合ったりと、瀬川先生と桐ヶ谷さんはとても楽しそうな様子だった。オレたちも鉢合わせしたハプニングはあったけれど、楽しんでいたようで安心した。  桐ヶ谷さんが最初に言っていたことが気になったけれど、あれはオレたちの他にもバッタリと遭遇してしまった人たちがいるということなのだろうか? 「結婚か……良いなぁ。ねえ、涼介くん。私たちも結婚する?」 「突然何言ってるんですか。先輩、ちょっと飲み過ぎたんじゃないですか?」 「大丈夫よ。後輩の涼介くんに心配されるような先輩じゃありませんよーだ」  どうにも少なからず酔っ払っている様子だった先輩は、そのまま部屋の中心に用意されていた布団にダイブする。その衝撃で先輩の着ていた浴衣が乱れ、隙間から着ていた下着やブラジャーが見えてしまっていた。 「見たなー? 涼介くんのエッチ」 「先輩が見せてきたんでしょうが。それに見せてこようが見せてこなかろうが、先輩は魅力的だから大丈夫ですよ」 「ふふふ。カッコ良くて優しい彼氏を持って私は幸せだなぁ。全部を投げ出して、ここの病院に来て良かった」 「桐ヶ谷さんが言ってましたけど、オレに彼女がいたらどうするつもりだったんですか?」  寝そべっていた先輩の隣に座り、先輩の頭を優しく撫でていく。酒が回っていたということもあるが、今まで聞けないでいたことを、先輩に聞いてみることにした。
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