第2章:予期せぬ遭遇

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「おお、おはよう。何だか疲れたような顔をしているけど大丈夫か?」 「あっ、瀬川先生……そんなに疲れたような顔してましたか?」  翌朝、朝食を食べる前に大浴場へと行くと、ちょうど先に入っていた瀬川先生と遭遇した。  瀬川先生の隣に並ぶようにして、オレはやや熱めの露天風呂へと浸かっていく。眠気に満ちていた体が一気に目覚めていき、交感神経が一気に優位になっていく。 「まあ、あれだけお盛んだったら仕方ないとは思っていたけどな。オレはともかくとして、結衣は耳を塞ぎながらも聞き入っていたぞ?」 「おぶっ!?」  露天風呂のお湯で顔をバシャバシャと洗っていたオレは、瀬川先生からのまさかの言葉に、自分の鼻に向かってお湯をかけてしまう。鼻の中にお湯が入り込み、オレは激しく蒸せ込んでしまった。 「まあ、君たちは若いから良いと思うぞ。別にオレはそのことでからかったりしないから大丈夫だ」 「き、聞いてたんですか……!?」  おそるおそる瀬川先生に聞くと、先生は苦笑いを浮かべながらゆっくりと首を縦に振った。そんな瀬川先生の顔をまともに見れず、オレはブクブクと湯船の中に沈み込んで行った。 「そんなに聞くつもりはなかったんだけどな……ついつい壁の向こう側から声が聞こえて来るものだから、さすがに意識してしまってな。すまない、余計なことを言ったな」 「うぐっ……」  瀬川先生にフォローされているが、恥ずかしさでオレは死にそうなレベルだった。  確かに昨日、真奈美先輩をめちゃくちゃに犯してしまったことは事実だった。最初こそ大きな声が出ないように配慮していたつもりだったけど、次第に理性が崩壊していき、最後には欲望のままに先輩の中を貫いていた。先輩の顔に大量の白濁液をぶちまけた後、2人で部屋についていた露天風呂に入り、再び先輩に欲情してしまっていた。そんな一部始終を、まさか隣の部屋にいた瀬川先生たちに聞かれていたとは、思ってもいなかった。 「仲が良くて良いことじゃないか。何も恥ずかしがる必要は無いさ。付き合っているのだから、そういうことをしても不思議じゃないだろ?」 「あの……ちなみに、瀬川先生は桐ヶ谷さんとは?」 「うぐっ!?」  顔を洗っていた瀬川先生に質問すると、今度は瀬川先生が蒸せ込む番だった。何度か咳き込んだ後、瀬川先生は苦笑いを浮かべる。それはオレの質問に対してなのか、お湯が鼻に入ったからなのかは分からなかった。 「……まあ、人生色々あるよな」 「答えになってないですよ、先生……」  明確な答えは話さなかったが、瀬川先生の反応を見る限りでは、オレの質問を否定しているようには見えなかった。  瀬川先生に犯されている桐ヶ谷さんの姿を想像してしまったオレは、慌ててお湯を頭から被って忘れようとする。それでも、ツンデレのような性格をしている桐ヶ谷さんが瀬川先生に犯されていると思うと、変な妄想ばかりが膨らんでしまうのだった。
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