第3章:訳アリのカップルたち

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「さて、料理はこれで全部ね。お酒もたくさん買って来てもらったし、そろそろ始めましょ」  桐ヶ谷さんの声を合図に、それぞれが好きなビールやワインなどのお酒をグラスに注ぐ。そして、お互いにグラスを合わせて乾杯をした。グラス同士がぶつかる乾いた音がリビングに響いたのを合図に、華やかなパーティーがスタートする。 「とりあえず、お互いのことを知らない人たちもいるみたいだから、軽く自己紹介をしようか。オレは消化器内科の医師の瀬川尚人だ。今年で29になる。よろしくな。で、こっちは今付き合っている桐ヶ谷結衣だ」 「みんな初めましてってわけじゃないから知ってると思うけど、消化器内科病棟で看護師をしている桐ヶ谷結衣よ。年は尚人と一緒で29。よろしくね」  今日のパーティーを企画してくれた瀬川先生と、その向かいに座っていた桐ヶ谷さんが自己紹介をする。この中では最年長ということもあり、やはり落ち着いて見える2人だった。瀬川先生はそれこそ院内でもイケメンだと有名だったし、桐ヶ谷さんも最初は話しづらそうに見えたけど、話してみると優しくて綺麗な人だった。 「えっと、僕は右京圭と言います。薬剤師になって3年目の27歳です。南野さんと吉田さんは、話すのは初めてですよね。よろしくお願いします。それで、こちらはお付き合いさせてもらっている月野雫さんです」 「初めまして、月野雫です。栄養士になって4年目の26歳です。どうぞ、よろしくお願いします」  薬剤師の右京さんと栄養士の月野さんは、2人とも控えめに挨拶をして頭を下げた。右京さんはオレよりも年上で、どちらかといえば寡黙そうな雰囲気だった。向かいに座っていた月野さんも落ち着いていて大人しめな女性という印象を受け、2人とも似たような雰囲気を持っている恋人同士に見えた。  そして、自分の番になったオレは自己紹介を始める。 「放射線技師になって3年目の、南野涼介です。今年で24歳になります。どうぞ、よろしくお願いします。で……こちらは、今お付き合いしている吉田真奈美先輩です」 「はい、理学療法士の吉田真奈美です。今年で3年目の25歳です。涼介くんとは、同じ学校の先輩後輩の関係でした。今日はよろしくお願いします」  みんなの自己紹介が終わり、あとは自由に飲食を楽しむ場になる。瀬川先生と桐ヶ谷さんが先導してどんどんとお酒をみんなに勧めていき、隣に座っていた右京さんや月野さんが慌てた様子でグラスをどんどんと空にしていく。  オレと真奈美先輩も、瀬川先生と桐ヶ谷さんにビールやワインをグラスに注いでもらい、美味しい料理やつまみに囲まれながら、楽しいひとときを過ごすことになった。
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