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「右京くんたちは、最近どうだ? 周りに見つからないようにやれてるか?」
「はい。あの一件以来、もっと注意するようになったので。あのときは、本当にありがとうございました。瀬川先生や中条先生たちの助けが無かったら、僕と雫さんは大変なことになってたと思います」
「ホントですよ? もう、圭さんはいっつもすぐに油断するんですから!」
「はは、それなら良かったよ! ってか、月野さんは相変わらず飲むとキャラが変わるな! 右京くんと最初に飲んだときもそうだったよな!」
「へえ、そうなんですか? もし良かったら、2人のこと色々と聞かせてください。あと、瀬川先生と桐ヶ谷さんのことも。どうやって付き合うことになったのか、知りたいです」
お酒が進むにつれてオレたちの会話は弾み、どんどんと打ち解けていく。オレも最初こそは緊張していたが、周りがみんな良い人たちばかりだったので、徐々にリラックスして話が出来るようになった。
緊張が解けるとそれまでの反動からか、アルコールが急激に体を駆け巡っていく感覚になる。事実、オレだけでなくみんなが程良く酔っ払っていた。
「僕たちが付き合ったのって、1年前くらいですよ。病棟の飲み会に参加したら、たまたま雫さんがいたんですよ。それで、酔っ払って潰れた僕を介抱したくれたんです」
「まさかあのときは右京くんが潰れるとは思っていなかったな! しかも、その後のことは月野さんの狙い通りだったとは、オレも驚いたよ!」
「えっ、ウソ!? 右京くんが潰れて月野さんの家に行ったのって、月野さんの計画通りだったってワケ!? 月野さん、見かけによらずやるわねぇ!?」
「ち、違いますよ!? 確かに私は圭さんのことを狙ってましたけど、あれはたまたま偶然です! 圭さんが飲めないのに、日本酒なんか飲むからですよ!」
「でもあのとき、日本酒を勧めてきたのは雫さんだったような気が……」
「あ、圭さん? そんなこと言うんですか? そんなこと言う圭さん、嫌いですよ! もうイチャイチャしてあげませんからね!」
みんなにからかわれて、月野さんはヤケになったのか、ウイスキーを一気飲みしてしまっていた。向かい側に座っていた右京さんが慌てて止めるが、月野さんは止まらなかった。
控えめで大人しい人だと思っていたけれど、意外と月野さんはお酒を飲むとキャラクターが変貌するタイプのようだった。しかし、普段から我慢して周りにバレないように気を遣っているとう共通点があったためか、みんなが同じ気持ちで月野さんを見守っていた。
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