1.偽りの優等生

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誰も俺が、本当は可哀想な…、価値のない人間だなんて、気づかないだろう。 誰も…。 その時、あの女の顔が頭をよぎった。 「何か悩み事があるの?」 あの女の言葉が脳内で再生され、怒りが込み上げてきた。 あの女だけは、本当の俺の姿に…。 陸「おい!次俺たちのクラスの担任だぜ!!」 陸が俺の肩を叩いた。 担任…。 別に誰でも良いけど、扱いやすい奴がいいな。 変に俺の家庭事情に首を突っ込んでこないような…。 「2年3組の担任は、桃瀬ひかり先生です。」 桃瀬…、ひかり…!? 聞き覚えのある名前に鼓動が速くなる。 壇上を見上げると、紛れもなくその女は俺の一番会いたくないアイツだった。
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