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あれから二年後の春。
あたしは競馬場で彼にあらためてプロポーズされた。
7番、オキノリョクチ。腹回りをきゅぅと締めた上品な毛並みを持つ白い馬。
ハルマの指示に従って素直に疾走していく姿は、とてもうつくしかった。
「ハルマ、いけぇ、走れ――ッ!」
風とともに、歌うように白い馬が先頭を突っ切っていく。
蛍光ピンクのド派手な帽色とゼッケンがたなびいていく。
あれが、あたしの愛する男性よと、この場にいる全員に伝えたいくらいに。
「1着、一番人気の7番オギノリョクチ! 鈴宮騎手、これで早くも今季八勝です!」
紙切れになった馬券が吹雪になって競馬場全体を真っ白に染め上げていく。
歓声と罵声と嬌声と怒号と喝采が反響する。
どの馬よりも先にゴールしたオギノリョクチはハルマに撫でられて満足そうに黝い瞳を煌めかせていた。
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