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「フーカ、もう、馬に乗らないの?」
「うん。受験もあるし、潮時だよ」
空元気だったのを見破られたのだろう。馬を嫌いにならないで、とハルマにも言われてしまった。
けして嫌いになったわけじゃない。
落馬をして、仲良くなった馬の命を自分が奪ってしまったことの罪悪感で、あたしは馬に向き合えなくなっただけ。そんなあたしをハルマは責めなかった。ただ、悲しそうにしていた。なにか言いたそうにしていたけれど、けっきょく彼はなにも言わなかった。もしかしたら彼はその頃から自分の進路を意識していたのかもしれない。同級生より一足先に全寮制の競馬学校への進学を決めた彼は。
あたしが乗馬をやめたことでハルマとの接点はあっさり消えてしまった。
けれど、あたしはこのときから、将来の彼のために役立つ知識を身につけようと、考えはじめたのである。
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