in the eyes of the dead

1/27
前へ
/27ページ
次へ

in the eyes of the dead

二階から上は吹き飛んだビル、屋根を無くした家。まともな建物などない、廃墟や廃ビルが墓標のように立ち並ぶ、その街。 その街には、夜の帳が降りると同時にーーーーすなわち、眠りにつく者たちが現れると同時に、目を見開く者たちがいる。 時に鋭く、時に獰猛に、時に冷徹に。 まるで、獲物を狙う猛獣のごとく、瞳を開く者たちが。 正義も悪もない、ただ、目の前の獲物を狩るためだけに、漆黒の闇の中、その牙を光らせる者たちが。 そんな者が一度牙を剥けば、ただその日を精一杯に生きているだけの人間など、ひとたまりもない。 だが。 その暗黙の掟を破り、この夜の闇の中を駆けていくひとつの影が、そこにあった。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加