3人が本棚に入れています
本棚に追加
in the eyes of the dead
二階から上は吹き飛んだビル、屋根を無くした家。まともな建物などない、廃墟や廃ビルが墓標のように立ち並ぶ、その街。
その街には、夜の帳が降りると同時にーーーーすなわち、眠りにつく者たちが現れると同時に、目を見開く者たちがいる。
時に鋭く、時に獰猛に、時に冷徹に。
まるで、獲物を狙う猛獣のごとく、瞳を開く者たちが。
正義も悪もない、ただ、目の前の獲物を狩るためだけに、漆黒の闇の中、その牙を光らせる者たちが。
そんな者が一度牙を剥けば、ただその日を精一杯に生きているだけの人間など、ひとたまりもない。
だが。
その暗黙の掟を破り、この夜の闇の中を駆けていくひとつの影が、そこにあった。
最初のコメントを投稿しよう!