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信ずる才能
階上へ消えたノリスに続きルシファスも地下牢から地上の施設に戻ってみると、ノリスが再び卿の前に駆け戻ってきた。
「子供たちは施設奥にある大部屋におりました。鍵がかけられておりまして、おそらく我々が来る間だけ一箇所に集められていたものかと」
ルシファスはノリスの手の中にある針金に視線を注いだ。
「で、開けたのか」
「はい」
大部屋の中を探ると、下は六歳から上は十二歳まで、様々な髪の色、目の色の孤児たちが身を寄せ合っていた。そして大人であるルシファスとノリスを見ると、震え上がり、怯えて縮こまった。
中へ足を踏みれる。ルシファス卿の耳に再び子供達の騒乱ともいうべき幻聴のようなものが聞こえてくる。いやこれは現実の叫び声なのか。
「おそらくここは劣悪な環境だったはずです。マイ・ロード、他を当たられては?」
子供たちの泣き声が聞こえる。帰りたいと訴える。ぶたないで、と怯えている。その場にいる一人がわめき出し始めると、恐怖は伝播するように多くの子供に癇癪を起こさせた。
本当に、この中から原石をひとつ、見つけなければならないのか。
「やめろ……」
耳を塞いだ。
「マイ・ロード? お加減が……?」
これ以上子供たちのいる部屋にいたらおかしくなりそうだった。やはり中に入るべきではなかった。一刻も早く出ていこうと、卿が大部屋の出口へ振り返った時。
どこからか旋律が降ってきた。
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