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(――どうしたら)
どうしたら、この呪縛から解き放たれ、正面から良太と向き合うことができるんだろう。
…高校を卒業して大学院へ進み、すっかり容姿が変わってしまった光に失望したはずなのに、それでも良太の気持ちは光の上に置かれたままだ。
光を好きになった。 でも良太の想いは叶わない現実を突き付けられても、それでも自分の兄を想い続ける良太を…好きになってしまった。
好きになった限りには自分の方を振り向いてほしくて、焦りばかり感じていっぱいいっぱいの自分にできることを、この三年間一生懸命やって来た。
それなのに――がむしゃらになればなるほど、良太に尽くせば尽くすほど、響が望むような関係を築くことができないような気がしていた。
どうしたら、どうやったら、良太は自分だけを見て、自分だけを想い、好きになってくれるんだろう――…
冷たくも感じる振る舞いを時折ちらつかせる良太の傍に、ただ好きだという気持ち一つでいてもいいのかと、そんなことすら考えてしまうようになっていた響は、これから自分がどうするべきなのかが、分からなくなり始めていた。
「…なんで光の前で、あんな態度取るかな」
トイレのカギもかけずに篭っていたそんな響の元に、唇に酷薄な笑みを浮かべた良太が姿を現す。
「光に怪しまれたらヤバイのは、おれだけじゃないって分かってやってるだろ?」
良太に怒られたくなくて身を竦めた響を、良太は威圧するような雰囲気を隠しもしないまま壁際へ追い詰める。
「…っ!」
顔を寄せ、小声で話す良太の息が頬を掠めただけで、響の体は快感に震える。
――胸が、苦しく感じるほど…ドキドキしてくる。
そのときめきをこらえるかのように俯いていた響の唇に、良太の肉付きの薄い唇が無遠慮に重なる。
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