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あんな危険行為をした割には、太司に対する学校からの処分は
【一週間の部活動の禁止】
で済んだらしく、大々的なことをやらかした次の日だというのに飄々とした体で登校したかと思うと、再び響にちょっかいを出しに来て、素気なくされていたのだ。
(まさか)
そんな響の態度が気に入らなくて、兄ちゃんにまで…!?
と、何故か光に詰め寄っているような雰囲気を醸し出している太司を見てそう思った響は、慌ててプールサイドにいる二人の傍へと駆け寄る。
プールサイドは水に濡れていて滑りやすく危険だということも忘れて二人の傍に一刻も早く近づこうとして、
「ちょっとッ!」
と、フライング気味に声を上げる。
「何やってんだよッ、オレに用があるなら、直接オレに言えばいいだろっ!」
「…響」
血相を変えて突然姿を現した響を見て目を丸くしたのは、プールに背を向けて難しい顔つきをしていた光だった。
「兄さんにまで突っ掛かるなんて…おかしーよッ!」
「はぁっ? なんだよ、…オレが、ナニ??」
光の口から響の名前が零れ落ちたことに目を丸くして振り返った太司は、いきなり現れたその勢いのまま話す響を見て動揺し、どもりながら詰め寄る響を押し戻す。
しかし激昂して頭に血が昇った状態の響には通用しない。
「付き纏ってんじゃねーよ、変人! オレに関わるなッ!!」
「ひーびーき~?」
(…!)
太司にむきになって食ってかかっていた響を、背後に回った光が笑顔で抱っこする。
びっくりして言葉を無くしている響の細い体を軽々と抱き上げ、笑顔のまま体を揺らして怒りまくる響をあやす。
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