4・昔の男

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4・昔の男

 おめでとう! 百五十九センチ八十キロのあたしでしたが、めでたく百五十九センチ七十九キロのあたしに生まれ変わりました! ……って。どんぐりの背比べかーい! わーい、一キロも痩せちゃったよぉ。(棒読み) 最近は朝の支度の忙しさにかこつけて、朝のジョギングをサボってるっていうのにね。だからつまり、これはきっと痩せた訳じゃなくて……。 憔悴したんだよぉ! (※憔悴=精神的疲弊により体力気力などが奪われるなどして痩せ衰えること。以上ネット調べbyあたし)  バイトの出勤時間は午前九時から午後一時まで。  たった四時間、されど四時間。  中国からの留学生腐女子のレンさんととベトナムからきた若者グェンくんの間に挟まれて、自分の能力の低さに慄く毎日をこちとら送ってるんじゃい。  なんでそんなに日本語うまいの?  何その、立板に水的な接客、すごいんだけど。  対してあたしはといえば、まさに立板にミス。三歩歩けば失敗ばかりしている。そのせいで胸の中に重くるしい、空気以外の何かがぎゅうぎゅうに詰まっている気がしてつらくて仕方ない。  あたしはその何かを吐き出してしまいたくて、
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