2・コンビニの麗人

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 コンビニ内に流れている広告のアナウンスが遠く虚しく聞こえた。  店内にいる客みんながあたしに白い目を向けている気がする。体がすくんで動けない。  咄嗟に確信した。  あたしにぶつかってきたのはこの女だと。 「さっさと行きましょぉ?」  女に促されて彼が椅子から立つ気配にあたしは敗北感と屈辱、恥ずかしさで目の前が真っ暗になる……その時。  あたしの鼻先をすごくいい匂いがかすめてきた。 「大丈夫?」 と聞こえた声が彼のものだとわかるまで数秒かかった。  真っ暗になったと思ったのはあたしが目をつむったからだった。  それに気づいて目を開けると、あたしの前のテーブルに広がるの茶色いシミを、高価そうな大判のハンカチが綺麗に拭き取っているところだった。 「きゃあぁ。先輩のハンカチが」  女の叫びが、近いはずなのにやけに遠くに感じられるのはなんでなんだろ。 「やめてください。汚いですよう」 と不満タラタラで女が言う。 「そんなことより、君もハンカチ出して」 「はっ?」 「持ってるでしょ。早く」 「……嫌です。いちお、ブランド物なんで」 「ブランドだろうと、ハンカチは拭くためにあるものでしょ」
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