2・コンビニの麗人

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 ん? でも、それじゃさっきの彼女のハンカチは?  首を傾げたあたしの隣に腰かけてきたその麗しい人が口の周りや顎にハンカチを押し当ててくる。 ちょっとベタベタしていたからハンカチが濡れているのがありがたかった。冷たい。気持ちいい。  ……それに、いい匂い。  ウッディでいて少しほろ苦いグレープフルーツの香り……香水なのかな。  何故だかあたしのことをお世話してくれる美しいお顔を直視するなんて勿体無くて恐れ多くて、目を逸らしたままされるがままになる。  すると彼が、 「お住まいは、あのコンビニの近くですか?」 と言ってきた。 あたしは思わず彼の顔をまじまじと見てしまった。 「へ?」 「よく会うから」 「……えっとぉ……」  目をしょぼつかせて彼の視線から目を逸らせる。  彼の言い方は確認じゃなくて断言で、それを聞いたあたしの心の中は混乱の極みだった。 ——こっそりだったはずなに、気づかれていたなんて!  そんなあたしの頬を彼が両手で挟んで上向かせてきて、まさに頭が真っ白になる。 (な、な、な……!)  なんなのぉっ。このシチュエーションは!?
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