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それを聞いた途端、さっきまで見ていた悲しい夢の余韻は全て吹き飛んだ。あたしが飛び起きるとその反動でベッドから津雪と蒼くんの二人が転がり落ちる。
「痛てて……」
「いきなりひどいですよ、湖雪さん」
床の上に転がった二人が口々に文句を言う。
……っていうか、津雪、あんたは仕事でしょーが!
なーんてこと、お姉さまは言いませんわよ。おほほ。
まさか倒れたあたしをお姫様抱っこでここまで運んでくれたのだろうか。
「突然倒れられたので驚きました。ちょうどよく同居の方々がコンビニ前を通り掛かってくれたので、コンビニの店長の手も借りて四人がかりで運んだんです」
心配顔で覗き込まれてあたしは思わず心臓の辺りを抑えた。
「そっ……それはっ。あのどこを掴んで運んでいただけたのでしょうか」
麗しの君に触れられたところを知りたいと思うのは人情でしょ。
ぎゃー、彼があたしの体に! もうお風呂にも入れないかもしらんっ。
あたしの問いに彼は絶妙に美しく見える角度に首を傾けあたしのことを見た。
……素敵。鼻血が出そう。
「? 僕は左側を」
「ヒッ、左腕ですかぁ! 左手はもう二度と洗いません」
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