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——ヒィー! ハァーッ!
フッと耳に息を吐きかけられてあたしの血圧はマックスまで上がった! ……多分。
「こっ」
「こ?」
「……湖雪……です」
「フッ。湖雪サンって言うんだ。可愛い名前。じゃ、またね。湖雪サン」
バタン、とドアが閉まる。
あたしはその場にへたり込んでしまった。
ヤバい。二度もあたしの名前を呼んでくれた……。
——ハッ。まさか夢オチ?
……と、赤くなったり青くなったりしていると、外の話し声が淡く聞こえてきた。
「キャッ素敵……じゃなくて。あのぅ、こちらに男の人いましたよね? 背が高くって貴方ほどじゃないけどイケメンのぉ」
これは多分バラ柄スーツの女の声。
(背が高くて……イケメン?)とあたしは尻餅ついたまま首をひねる。
「さっき出て行った彼だけですよ」
シャラっと返答しているこっちが麗しの君……三上さんだ。
さっき出て行った彼っていうのは津雪のことだ。
「えぇ? そぉなんですかぁ?」
「そうですよ」
「まぁ、あなたがそう言うのならこの場は一旦そおゆうことにしちゃおっかなー」
結構軽いんだ、バラ柄女。
「じゃ、ボクはこれで」
「あ、ちょっと待って」
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