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花水木先生がうちにいる? ……それは見間違いに決まってる。
あの時ドアから顔を出していたのはあたしと蒼くんの二人だけだもん。
だとしたら近くの部屋から出てきた人をうちと勘違いしたんじゃないの……?。
そう考えたらもうそれしかない核心に満ちたあたしは興奮し、
「どこ? どこにいたの? まさかご近所様!?」
と叫びながら立ち上がりその場でぴょんぴょん跳ねた。
床がギシギシと軋み声をあげる。
階下に住む人がすっ飛んできて文句を言いにきたけどすっかり盛り上がっているあたしは、
「知るか!」
と怒鳴って、それに青ざめた蒼くんがペコペコと頭を下げてくれた。
蒼くんの背中を見て一瞬で冷静になったあたしは悲しくなって自分の部屋に戻るとももかちゃん人形を握りしめてベッドに横になりなるべく体を丸めて(小さくなろうと思ったのだ。気分だけでも)目をつむった。
よくわからないけど、とにかく悲しくて。
このまま消えて無くなりたいって思いながら意識を瞼の闇の中に溶かそうとしたんだ……。
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