3・嫌な男

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「やりたいことないの?」→オタ活したい! でもってゴロゴロしたいだけだから! →→→……あたしって、なんもない……。 と言う結論を自覚させられて、要はかなり傷ついちゃったのだ。結局あたしは。 (あたしは……何もできない。ゴミかすだよ……) それはこの三年間、いやもっとずっと前からあたしが気付きたくなかった現実だった。それを突きつけられてあたしの形ばかりのプライドは今日ズタボロに引き裂かれたのだった。    嫌味なオーナーの顔がまた頭に思い浮かぶ。 ……嫌な男。  あたしの横で立ったままの蒼くんがすごく心配そうにしてくれるから少しだけ気持ちが上向いた。 (もし、あそこのコンビニに受かったとしても絶対蹴ってやる。他のバイトにだって応募してるんだからねっ) 心の中でそう叫びつつあたしは結局、蒼くんの握り拳ほどあるマドレーヌをふんすふんすと五個も食べてしまった。  他にうけたのは食品工場とファストフード店のバイト。結構ハードルを下げて職種を選んだつもりだったのに(要するに受かる気満々だった)……。 採用の連絡があったのは最初のコンビニだけだった。
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