4・昔の男

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 思わずグゥッと唸ってしまった。  あと三日、待たなきゃいけないの?  あたしは、もう一度大きくため息を吐いた。  洗い物とか、洗濯物とか、蒼くんがいる時に教わっておけばよかった……と後悔しながら洗い物の溜まったキッチンと、乾燥機から出してそのまま山になっている洗濯物の山を情けない思いで見る。 「……」  あたしは山積みになっているそれから目を逸らした。家事が出来なくたって別にいーんだ。だって蒼くんが帰ってきたらやってくれるし。  それより問題は、仕事! 「あーあ……」  あたしは脱力して、大きくため息をついた。  働く以前に、外に出るのも久しぶりだから、最初からうまくいくとは思っていなかった。でも、大学を出て会社勤めだってしたことあるんだから、なんとかなるんじゃない? って甘く見ていた。  この三年間、引きこもっているうちにあたしはすっかり社会でのやってき方がわからなくなっちゃったのだ。まぁ、そもそもあたし、人と会話することが苦手だったしね。  客以前にバイトの子たちと会話が続かない。いらっしゃいませの声出しをどのボリュームで言うのが正解なのか分からない。今日もめちゃミスしたから明日あの子たちと顔合わせるのが既に今から辛い。(汗)  ううん。はっきり言えば明日からもう、仕事へ行きたくない。  だって他の子たちの方が仕事できる。(泣)そのデキる二人に挟まれて四時間……私の(どうせダメ人間ですよ……)って、コンプレックスが刺激されまくって……仕事に集中できるわけがない!
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