Hungry Spider3

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Hungry Spider3

豪邸のリビングにて、鑑賞会はまだ続く。 映写機がカタカタフィルムを巻き取り、スクリーンに倒錯したポルノを上映する。 場面が切り替わる。 『お待たせ致しました紳士淑女の皆々様。これより今夜の目玉、リトルスネイクの産卵ショーを開始します』 ホールを埋め尽くす観客と万雷の拍手。客席より一段高くなったステージにライトが降り注ぎ、中心に打ち込まれたポールとそこに括り付けられた今宵の主役を暴き立てる。 あのガキがいた。当然の如く服は剥ぎ取られて全裸。乳首にはリングピアスが穿たれ、輪っかに棒が通されていた。 『っぐ……』 金属の楔に引っ張られた突起は変形しちまってる。 乳首がちぎれる痛みに喘ぐ顔が大写しになり、こっち側の中年男が自分を慰める手を速める。 胸糞悪い。直視できねえ。 こうして見ると、ガキには確かに呉哥哥の面影があった。まだピンクに染めてない黒髪、吊り上がった一重の双眸、尖った犬歯がはみ出た薄い唇。鱗のせいでわかりにくいが肌の色や顔立ちは東洋系だ。 すぐに気付けなかったのは、俺が知ってる呉哥哥とは雰囲気が違いすぎたせい。 スクリーンのガキは可哀想に、どこもかしこも委縮しきっていた。全身至る所にできたみみず腫れは鞭打ちの痕だろうか、薄っすら血が滲んで痛そうだ。 調教師は黒革の乗馬鞭を持っていた。それを床に叩き付けるや、前のめりに突っ伏した少年がビクリとする。 既に調教済みらしい。 『ご覧くださいこの鱗。コイツは蛇のミュータント。可哀想に、借金のカタに親父に売り飛ばされたんです。正確には母親がミュータントで父親が人間の雑種ですが、混血だってこんなにハッキリ特徴がでることは珍しい』 調教師のゴツい手がガキの頬に食い込み、瞼をおっ広げる。 『瞳にも注目してください、縦長の瞳孔なんて先祖返りの蛇そのものだ!ハハッ、キロキロ動いて気持ち悪ぃ。琥珀の虹彩も抉っちまいたいほどキレイでしょ、ミュータント風情にゃもったいねえ』 顎を掴んで客席に向かせりゃ、一斉にため息が零れた。ライトの直射が眩しいのか、ガキの瞼は小刻みに痙攣してる。 『せっかくの晴れ舞台に何べそかいてんだ』 『!ッ痛ぐ』 両胸を苛む棒を弾かれ、琥珀の瞳が水膜に潤む。客席から失笑が漏れる。 調教師が調子に乗り、邪悪で醜悪な笑顔を広げる。 『おら、チップを弾んでもらえるように笑え。媚びろ。お客様にサービスするんだ』 『あッ、あッ、あぁっ、んっふ』 長く太い舌が嫌がるガキの顔を舐め回し、背中や太腿に鞭を伝わせていく。 時折棒を弾き、乳首を引っ張る痛みで目を覚まさせる。まるで踊っているようにも見えた。 『口開けろ。俺が性器に改造してやった喉マンコ見てもらえ』 『ふぅっ、ンんぐ』 調教師の指がガキの口を押し広げ、二股の舌を摘まむ。ぐちゃぐちゃ、唾液を捏ねる生々しい音が響き渡る。 口でも感じるのか、ガキは高ぶっていた。股間にはカウパーの濁流にぬめるペニスがそそりたち、ぱたぱた涙をたらしている。足元には体液とローションの水たまり。 『皆さまは総排泄腔をご存じですか?両生類や爬虫類、そして鳥類に備わっている、直腸・排尿口・生殖口を兼ねる器官のことです。もちろんコレは蛇にもあって、ケツの孔から卵と精子を排泄するんです。即ち蛇はメスでもありオスでもある、天然のケツマンコを持って生まれてきた訳です。じゃあ蛇の因子を組み込まれたミュータントは?連中のケツ孔がどん位ガバガバなのか、知りたくありませんか?』 鞭が太腿を回り込んで内腿を滑っていく。 両手はポールに括られたまま、ライトの直射と満場の視姦にさらされるガキ。 必死に顔を背けるも鞭の先端で股間を嬲られ、切なげに身を捩る。 「ああたまりません……私もこの場にいたかった。生で見れないのが本当に惜しい」 中年男が心底残念そうに嘆く。 「見てくださいよあのペニス、あんな子どもでもやっぱり感じるんですね。調教の成果でしょうか」 「薬を打たれたのかもしれませんよ。ガキは体が小さいんで、分量の加減が難しいですが」 呉哥哥はなんでもなさそうに会話していた。横顔には軽薄な笑みが張り付いている。 俺はずっと、吐き気と戦っていた。 なんで呉哥哥が俺をこの場に連れてきたのか。 なんでこれを見せたのか。 『あ゛ッ、あ゛ッ、あぁ゛ッ』 ガキが鞭の柄で犯されていた。 持ち手の部分は丸く膨らみ、簡単には抜けない。喘ぎすぎて掠れた声。 調教師が足を使い、開脚で固定する。手の動きに合わせて体が上下し、乳首に通した棒が弾む。 呉哥哥がスクリーンに視線を投げたまま、体温の低い声で質問する。 「あなたはスケイルキラーズなんですか?」 「まさか!あんな野蛮な連中と一緒にしないでいただきたい」 「失礼。随分この手のポルノにご執心なようですから」 大いに憤慨しウィスキーを注ぎ足す。大分酔っているらしい。 「スケイルキラーズは爬虫類……特に蛇のミュータントを目の仇にする連中じゃないですか。私はその逆」 「というと」 呉哥哥が静かに促せば、中年男が舌なめずり。 「生粋の爬虫類マニアなんです。特に蛇の……まだ脱皮もしてないような少年少女が好物、といえばおわかりいただけるでしょうか。フィルムを手に入れるのは苦労しました、二十数年前の古い作品ですから。ですがまあ方々手を回して、ね。シリーズも最後の一本を除いて全部集めました」 「素晴らしい執念ですね」 「他にも色々ありますよ。メス猫の双子を絡ませたヤツなんておすすめです、お互いのしっぽをぐちゃぐちゃ出し入れして、ね」 言いながら興奮してきたのか、余った手でマスターベーションを再開。その目が呉哥哥の股間に移って疑問を湛える。 「呉氏もご一緒にいかがです?ご遠慮なさっているならお気にせずとも」 「特等席で眺めるだけで十分ですよ」 「案外謙虚な方ですねえ」 『ぁ゛ッ、っぐ、痛ッあ、許して、お願いやめっ、ちぎれるッ』 中年男がグラスの中身を干す。 スクリーンじゃ引き続きガキが嬲りものにされている。 『さてさて、私が腕によりをかけて開発したケツをご覧ください』 抵抗を封じられたガキの体をあっさり裏返し、アナルをくぱぁと開く。 擂り鉢状に削げた後孔はヴァギナのように赤く色付いて、玩具や男根を何本も受け入れてきたことがわかった。 『うっ、うっ』 ガキがまたぐずりだす。嗚咽に胸が痛む。涙に濡れた顔は本当にあどけない。 調教師がほぐれたアナルをぬぢぬぢいじくる。 『今から卵を産みます。コイツが何個孕んでるか、見事当てた方には精を注ぐ権利をさしあげます!』 『三個!』 『四個!』 『いや七個だ!』 スクリーンで次々手が挙がる。中年男が「何個に張ります?」と目を輝かせる。呉哥哥は興味なさげに言った。 「五個(ウー)」 『ほらよ。踏ん張れ。力め。尻はあっちに向けな、ガバガバのケツマンからひりだす所を見てもらうんだ』 『ぁ゛あ゛ッ!』 鞭が撓ってケツを打擲、ガキが激しく仰け反る。 腹がへこんで膨らみ、収縮する直腸をじれったいほどゆっくり異物が下ってく。 『んッ、ぅぐ』 『頑張れ、もうすぐだぞ。ひっひっふー』 膝裏がビクビク震える。大量の脂汗に塗れて力み、括約筋と大殿筋が突っ張る。 どんだけ突っ込まれたのか、一個目をひりだすまでたっぷり五分はかかった。 『ひっひっふー』 『かふっ』 ヒク付くアナルからぽこんと球の頭が覗き、ローションの糸を引いてべちゃりと落ちる。大きさはピンポン玉と同寸。 透明な粘液に塗れたそれは、本物の卵によく似ていた。 『遂に産まれました!皆様、ベビーちゃんに盛大な拍手を!』 調教師が卵を取り上げて披露し、ホールがワッと沸く。スタンディングオベーション。 祝福の拍手を送られた当のガキはといえば、引き続き産みの苦しみを味わっていた。 『も、無理、腹くるし、ぁうぐ、くふん』 直腸の襞が蠢き、異物を送り出すごとペニスがもたげていく。 括約筋が開口し、排泄する瞬間に快感は最大に達する。 続いて二個目、三個目とぬる付く球がひりだされた。 『~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッぁ!』 四個目でイッた。 ペニスがピュッピュッと精液をまき散らし、調教師が口角を上げる。 『産卵中に射精するド変態が。孕んで産める総排泄口(ケツマン)は名器だな』 足元の床には大量のローションと体液がたまっていた。ガキの顔はすっかり蕩けきって正体を失くしてる。 調教師が前髪を掴んで揺さぶり、脅す。 『気張れよ、最後の一個だぞ』 『奥ィき過ぎてむり、ふぁ』 また鞭が振り下ろされた。ガキが狂ったように泣き叫ぶ。時折混じる中国語の哀願。 『仕方ねえ、手伝ってやる』 『嫌だ自分でやるッ、ぁぐッ抜いっ、て』 業を煮やした調教師が鞭の柄を突っ込んで掻きだしにかかり、悲痛な嗚咽が高まっていく。 『あぐっ、んっひぐ』 鱗に覆われてない左半身が上気し、パニックに襲われた琥珀の瞳が淫蕩な快楽に濁り、ローションの粘膜に包まれた卵がぬぷぬぷ下りてくる。 『ンっぐ、んッんッ』 スクリーンの客たちは笑っていた。 ステージ上のガキが卵を産まされる光景を、優雅に酒を飲みながら見ていた。 ガキの目が死ぬ。 『~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ぁぁあ』 括約筋が緩み、アナルを通過した卵が落ちて、はねる。 『最後の一個を無事取り上げました、ほかほかでおいしそうですねえ。長丁場の産卵にお付き合いくださりありがとうございました、正解者の方はステージにお上がりください、報酬をご用意しています』 万雷の拍手。熱狂。 産卵を終えると同時に拘束が解除されるも、ステージに崩れ落ちたガキは水たまりに突っ伏して動かない。 涙が枯れ果てた目は虚ろなまま、どこも見ていない。 「哥哥」 随分久しぶりに声を絞り出す。 「もういいっすよね」 十分我慢しましたよね? 漸くわかった、この人が今夜に鍵って黒いサングラスをしてきた訳が。 琥珀のレンズじゃ特徴的な瞳が透けちまうからだ。 この変態がどんだけ鈍感でも、瞳を見りゃ一発でわかるはず。 「ぁあっ、出るよ小蛇ちゃん!お顔で受けてくれ!」 感極まって呻き、スクリーンにぶっかけようとして硬直。俺が張り巡らした糸が四肢に巻き付き、動きを封じたからだ。 『あぁっ、ンっぐ、ぁうっ、ぁあぁッ』 呉哥哥がソファーから腰を浮かし、凌辱が続くスクリーンを背負って立ち塞がる。 映写機がカタカタ回り、サングラスが光を跳ね返す。 「てかさー。俺様ちゃんのファンなら声変わりしてても気付いてくれよ、超~~~~~~ショック」 「まさか」 背後に上映されるガキの痴態と道化て両手を広げた呉哥哥がだぶり、男が目を剥く。 不審、動揺、驚愕。めまぐるしく移り変わる表情。 次いで保身に回り、逃亡を企てるのをすかさず糸で阻む。 「お座りしてろよペド野郎」 「ぐふっ!」 股間丸出しでコケた男の鳩尾をおもいきり蹴り上げる。 一発、二発、三発。無言のまま蹴りまくる。靴から足に衝撃が伝わり、暴力衝動を駆り立てる。 手首に二重三重に巻き付けた糸をぐっと引く。咽喉にギチリと糸が食い込み、窒息の苦しみに男が喘ぐ。ドアは糸を伸長して錠を噛ませてあった。 脳裏はチリチリ焼けていた。 胸の内じゃ得体の知れない何かが荒れ狂っている。 「哥哥。竿、落としますか」 「な、なんだね君は!呉氏の付き人じゃないのか!?」 「汚物が喚くな」 抉りこむように背中を踏み付けて黙らす。 スクリーンで滅茶苦茶に泣き叫ぶガキ。部屋中に渦巻く喘ぎ声。ああ、煙草が喫いてえ。中年男が暴れて映写機を蹴り倒す。 呉哥哥が男の鼻先まで接近し、とても優しい声で言って聞かせる。 「口は災いのもとっていうよな。テメェの失敗は手に入れたビデオの内容をぺらぺら喋った事だ」 「あ、あの子が生きてるはずない!大人になって現れるはずがないだろ!」 「だよな。あそこまでハードな調教うけたらフツー長生きできねえ、オツムが先か体が先かいずれにせよぶっ壊れんのがオチ。俺様ちゃんはちィとばかし頑丈だった、悪運に恵まれてもいた。どうしたもっと喜べ、俺様ちゃんの大大大ファンだったんだろ。握手は?サイン欲しくねェ?はははははははッ無理かアンタ子役じゃなきゃヌけねえもんなあ、三十路のオッサンはお呼びじゃねえってか」 「さっきは別人だって言ったじゃないか!だましたのか詐欺師、卑怯者!」 「馬ッ鹿じゃねェの、ガラガラヘビは二枚舌に決まってんじゃん」 スプリットタンを出して愉快げに笑い、親指の腹でスクリーンを指す。 「あっちはリトルスネイク、俺はラトルスネイク。別人だろ」 サングラスを外して胸ポケットに掛ける。瞼が上がって現れたのは、あのガキと同じ琥珀の瞳。 次の瞬間、銃声が耳を貫く。呉哥哥が目にもとまらぬ早業で銃を抜き放ち、映写機に撃ち込んだのだ。豪華なインテリアが飾るリビングに闇が去来し、空気が緊迫する。 「第二幕のはじまりだ」
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