ライブ後の病院

1/1

24人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ

ライブ後の病院

俺は今、病院にいる。 音波が運ばれる時、友人が一緒に行けと背中を押したのだ。 呆然としていて、気づいた時には俺は病院にいた。 そしてその音波は今、俺の目の前のベッドで寝ている。 「今日は1日一緒にいてあげてください。」 と、看護師さんに言われて、俺は音波と一緒にいる。 まだ目が覚めないようだ。 彼女は静かに眠っている。 今、何時だろう。 携帯の時計を見ると、時刻は夜の8時を少し過ぎていた。 ライブが終わったのが7時過ぎ。 ちょうど1時間くらい経ったのか。 それにしても、病院は静かだ。 電気が付いていて、他の人もいるはずなのに、あたりはしんとしている。 暗い部屋で盛り上がるライブ会場とは正反対だ。 不思議な気分になる。 そんなことを考えていると、病室の扉が開いた。 カーテンをめくって顔を覗かせたのは、音波の父母だった。 「あ、奏音君、音波は大丈夫なのか!?」 「ええ、今のところ、眠っているだけみたいです。」 「そうか、良かった。まさか音波が倒れて病院に運ばれるなんて。」 2人は彼女の眠っている姿を見てホッとしたみたいだ。 「音波は俺が今日1日一緒にいるので安心してください。」 「そうか、奏音君がいるなら心配ないな。」 しばらく音波の様子を見て、2人は部屋を後にした。 「今日はもう遅いから、色々準備してまた明日来るよ。奏音君、よろしく頼む。」 「はい、もちろんです。」 思わず、安心してくださいとは言ったものの、俺に出来ることは、こうして一緒にいることくらいだ。 俺が彼女のために、何か力になれているのだろうか。 そんなことを考えているうちに、だんだんと眠くなってきた。 そういえば、ライブからそのまま来て休憩すらしてなかったな。 今日のライブ、盛り上がったな。 新歓ライブでいつもより緊張したけど、君のおかげで、俺もみんなも力を発揮できた。 音波のギターにはいつも救われる。 俺も練習して上手くならないとな。 今度教えてもらうか。 それで、。 気づいた時には、俺は眠ってしまっていた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加