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病院の朝
スマホの通知音で起きた。
椅子に座りながら、ベッドにうつ伏せになって寝てしまっていたようだ。
あれ、いつの間に寝ちゃったんだ、俺。
スマホを見ると時刻は7時。
すでに朝だった。
通知を開くと、友人からのメッセージが10件ほど来ていた。
昨日救急車で運ばれた後、どうなったか心配だったようだ。
そうだ、音波は。
ベッドの方を見ると、音波が窓の外をじっと見つめていた。
起きてる、良かった。
俺はほっとした。
目を覚ましたことに気づいたのか、彼女がこっちを振り向いた。
「あれ、起きた?おはよう、奏音。」
彼女が微笑んだ。
窓から差し込んでくる光で、音波の顔が照らされ、音波の笑顔がよりいっそう、美しく見えた。
いつ見ても、可愛いな。
「どうしたの?そんなに美女の顔見て。まさか惚れた?なんてね、あはは。」
お前にはもう、とっくのとうに惚れてるわ。
俺は音波に尋ねた。
「気分はどうだ?お前昨日ライブのあと倒れたんだぞ。覚えてるか?」
「うん、もう大丈夫。それに、さっき看護師さんから聞いたよ。なんかぼーっとしてて、幕が下りかけたところまでは覚えてる。」
「まったく、急に倒れるもんだからビックリしたよ。あ、そういえば、あいつに連絡してなかった。」
俺は急いで友人にメッセージを送る。
メッセージを送り終えたところで、音波が手を差し出してきた。
持っていたスマホを渡すと、音波はカメラを起動して、インカメに入れた。
そして音波に腕を掴まれ、ベッドの上にぐいとひっぱられた。
「ちょ、なになに。」
「記念写真撮ろ!ライブの後写真撮ってなかったから!」
病院で撮るんかい。
まあいいか、記念に1枚撮っても。
スマホのカメラに2人の顔が入る。
「はい、バター。」
パシャリ。
「ははは、バターって何だよ。」
「ハイ、チーズってよく言うでしょ?だからチーズじゃなくてバターにしてみた。あはは。」
2人が笑顔に写っている写真を見ながら、俺達は笑い合った。
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