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白血病
白血病、?
は。
目の前が真っ暗になった。
何を言ってるんだ?
そんなわけないだろう。
だって、あんなに元気にしてたじゃないか。
そんなわけ。
父が続ける。
「最後まで聞いてくれ。まだはっきりと確定した訳じゃない。ただ、普段から咳き込んでいる様子とか、症状が似ているみたいだ。俺だって信じられない。」
そういえば、咳き込んでた。
でも、だからって白血病だなんて。
まだ決まった訳じゃないんだ。
音波に限ってそんなわけない。
父が言った。
「それで、奏音君に聞きたいことがある。もし音波が本当に白血病だったとしてだ。君は、娘と別れるか?」
そんなの、。
俺は答えた。
「別れません。俺の大好きな彼女ですから。」
「そうか。ありがとう。本当にありがとう。うちの娘は、本当に良い彼氏を持った。」
それを聞いた音波の父に少し笑顔が戻った。
俺は音波の父に尋ねた。
「音波は、どうなるんですか。」
「病室の準備もあってとりあえず今日は家に帰ったが、明日から再入院ということになった。それと薬の投与で、咳き込むことはあまり無くなるそうだ。」
「そうですか、。」
手元のコーヒーを口に運ぶも、進まない。
白血病だと診断された時、音波はどう思ったんだろう。
どのくらい驚いたんだろう。
そんなことが頭をよぎる。
「今週は精密検査をするようだ。そうなると、音波に会えるのは来週になるだろう。」
少しして2人がコーヒーを飲み終わり、父が席を立った。
「今日はありがとうな、急だったのに来てもらって。」
「いえいえ、こちらこそありがとうございます。」
話が終わり、店を出た。
音波の父は用があるからと病院に戻っていった。
その後、家に帰った俺は白血病について調べることにした。
パソコンを立ち上げ、白血病を検索する。
白血病についてのサイトは、っと。
あった、これだ。
俺はそのサイトをクリックした。
白血病。
それは、血液のがん。
血液中にある赤血球、白血球、血小板がそれぞれ体内で作られていく中で異常が発生し、白血病細胞と呼ばれるがん細胞が生成される。
それが血液や骨髄に広がっていき、白血病となる。
白血病は主に慢性白血病と急性白血病の2つに分けられる。
進行が早いものと、そうでないもの。
生存率は、どちらも約60~70%ほどだ。
慢性白血病の余命は3年~5年。
急性白血病の場合は、3ヶ月~3年。
3ヶ月。
そんなに早いことがあるのか。
長くても、5年。
俺は、彼女の退院を願った。
治る人だっているんだ。
音波は、きっと治る。
その時、電話が鳴った。
音波からだった。
俺はゆっくりと深呼吸をして、応答ボタンを押した。
「もしもし?あのね、今日受けた診察の話なんだけどね、。」
彼女が何を言うかは、分かってる。
俺は迷ったが、今日父から聞いたことをそのまま伝えることにした。
「あぁ、お父さんから聞いた。」
「あら、もう聞いてたのか。お父さんは早いなぁ。あはは。」
少し沈黙が続いた。
そして、彼女が言った。
「ねぇ、奏音は、どう思った?」
また沈黙が続き、俺は答えた。
「何でお前なんだって思った。」
「そっか。」
その声は少し寂しそうだった。
「来週また行くから、おとなしくしてるんだぞ。」
「うん、待ってる。」
今日はもう遅かったため、いつもより早めに電話を切った。
その後、メッセージは送っていない。
彼女にかけてあげる言葉が見つからない。
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