白血病

1/1

24人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ

白血病

白血病、? は。 目の前が真っ暗になった。 何を言ってるんだ? そんなわけないだろう。 だって、あんなに元気にしてたじゃないか。 そんなわけ。 父が続ける。 「最後まで聞いてくれ。まだはっきりと確定した訳じゃない。ただ、普段から咳き込んでいる様子とか、症状が似ているみたいだ。俺だって信じられない。」 そういえば、咳き込んでた。 でも、だからって白血病だなんて。 まだ決まった訳じゃないんだ。 音波に限ってそんなわけない。 父が言った。 「それで、奏音君に聞きたいことがある。もし音波が本当に白血病だったとしてだ。君は、娘と別れるか?」 そんなの、。 俺は答えた。 「別れません。俺の大好きな彼女ですから。」 「そうか。ありがとう。本当にありがとう。うちの娘は、本当に良い彼氏を持った。」 それを聞いた音波の父に少し笑顔が戻った。 俺は音波の父に尋ねた。 「音波は、どうなるんですか。」 「病室の準備もあってとりあえず今日は家に帰ったが、明日から再入院ということになった。それと薬の投与で、咳き込むことはあまり無くなるそうだ。」 「そうですか、。」 手元のコーヒーを口に運ぶも、進まない。 白血病だと診断された時、音波はどう思ったんだろう。 どのくらい驚いたんだろう。 そんなことが頭をよぎる。 「今週は精密検査をするようだ。そうなると、音波に会えるのは来週になるだろう。」 少しして2人がコーヒーを飲み終わり、父が席を立った。 「今日はありがとうな、急だったのに来てもらって。」 「いえいえ、こちらこそありがとうございます。」 話が終わり、店を出た。 音波の父は用があるからと病院に戻っていった。 その後、家に帰った俺は白血病について調べることにした。 パソコンを立ち上げ、白血病を検索する。 白血病についてのサイトは、っと。 あった、これだ。 俺はそのサイトをクリックした。 白血病。 それは、血液のがん。 血液中にある赤血球、白血球、血小板がそれぞれ体内で作られていく中で異常が発生し、白血病細胞と呼ばれるがん細胞が生成される。 それが血液や骨髄に広がっていき、白血病となる。 白血病は主に慢性白血病と急性白血病の2つに分けられる。 進行が早いものと、そうでないもの。 生存率は、どちらも約60~70%ほどだ。 慢性白血病の余命は3年~5年。 急性白血病の場合は、3ヶ月~3年。 3ヶ月。 そんなに早いことがあるのか。 長くても、5年。 俺は、彼女の退院を願った。 治る人だっているんだ。 音波は、きっと治る。 その時、電話が鳴った。 音波からだった。 俺はゆっくりと深呼吸をして、応答ボタンを押した。 「もしもし?あのね、今日受けた診察の話なんだけどね、。」 彼女が何を言うかは、分かってる。 俺は迷ったが、今日父から聞いたことをそのまま伝えることにした。 「あぁ、お父さんから聞いた。」 「あら、もう聞いてたのか。お父さんは早いなぁ。あはは。」 少し沈黙が続いた。 そして、彼女が言った。 「ねぇ、奏音は、どう思った?」 また沈黙が続き、俺は答えた。 「何でお前なんだって思った。」 「そっか。」 その声は少し寂しそうだった。 「来週また行くから、おとなしくしてるんだぞ。」 「うん、待ってる。」 今日はもう遅かったため、いつもより早めに電話を切った。 その後、メッセージは送っていない。 彼女にかけてあげる言葉が見つからない。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加