第1章 春・乱・漫!

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そんな咲也は、中学からバスケットをやっていて、大学もバスケ推薦で入った。今日は大学に通い始めて、初めての練習試合。試合に出られるかどうかはまだ分からないらしいけど、咲也ならきっと出られる。そう信じてる。 大学の構内にある体育館は大盛り上がりで、外にまで歓声が聞こえてくる。あたしは走って体育館の応援席に入っていくと、すでに咲也のファンが一番前を陣取っている。高校の時からずっと追いかけてきてる子たちだ。半分は見覚えがある。 「メンバーチェンジ!!」 その声が響くと、みんながまた「キャーーーッ」と騒ぎ立てると、あたしはファンの子たちから一番遠い席の一番前に行って手すりを両手で掴み身を乗り出した。メンバーチェンジしたのは、咲也のチーム。咲也がちょうどコートに入ったところだ。 「あっ」 咲也は青い生地のユニフォームを着ていて、ニッと微笑んでメンバーとハイタッチしながら入れ替わって、コートに入って行った。ユニフォームはノースリブに、胸元はV字になっていて、縁に白いライン。 「え?何?あの子」 「一年生?」 「イケメンじゃない??」 「かっこいい!!」 周りの女子たちがそう言って、咲也の姿を目で追っていく。あたしはそんな外野の声なんかどうでもいい。
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