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戸坂さんはそう言って、ニコッと笑ってお母さんを見ると、お母さんは苦笑して髪を耳にかけてバッグから長財布を取り出した。
「だって、主人がパーマはダメって…」
「ほら出た。旦那さまの圧力」
戸坂さんはそう言いながらも、お父さんのことは知ってるし会ったこともあるから、嫌味ではない…。あたしはスマホを取り出して、レジカウンターの前でお母さんと並んでスマホ決済の準備をしていると、お母さんはハッとしてあたしを見つめた。
「い、…今時の子だわぁ」
「お母さんも出来るよ。こないだダウンロードしたでしょ?ここで使える決済アプリ。ポイントも貯まるよぉ」
あたしはニヤッと笑って言うと、お母さんは口を尖らせてまたあたしを見つめて、
「…こ、今度ねっ。それより。…私もパーマ、かけちゃおっかな。理に文句言われても…知らないわよねぇ?ね??光莉」
と言ってあたしの顔を覗き込んできた。あたしはウンウンと頷いて、
「何なら、あたしがお父さんに助言するよ!お父さんの洗脳なら任せて!」
と言ってグッとガッツポーズした。戸坂さんはそんなあたしたちを見てクスクス笑って、
「光莉ちゃんが大きくなったから、親子でもあるんだけど、なんか今は姉妹みたいだね。仲良くて羨ましいよ」
と言ってお母さんがトレイに置いた代金を受け取って、レジスターに打ち込んだ。
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