第1章 春・乱・漫!

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「やだ。褒めすぎよぉ。戸坂くんも、あの頃は新人のシャンプー係だったのに、今じゃ店長で、しかもあんなにシャイだったのに、こんなにチャラくなっちゃって、ねぇ」 お母さんはそう言って「うふふ」と笑っているけど、あたしと戸坂さんは顔を見合わせて、 「…褒めてないよね?それ」 と言うと、戸坂さんも思い切り苦笑いだ。 「うん。なんか、喜べない」 「えっ?だ、ダメだった?!」 お母さんも、なぜかびっくりしてあたしと戸坂さんを交互に見つめた。 「あ、それより。あたし、これから咲也のバスケの練習試合見に行くから、お母さん、ここでバイバイね」 「え?お茶は?」 「もう時間、ないやっ。戸坂さん、ありがとうございました!この髪型、すっごく気に入ったよ。自慢してくるねっ!!」 あたしはそう言って美容院のドアを開けて外に飛び出すと、駅に向かって駆け出した。ここから駅まで走れば、10分かからない、かな?! 「もう!光莉〜〜!!」 後ろでお母さんが叫んでるけど、ごめんねー!! 雪子は「ふうっ」とため息をついて、光莉の背中を見送りながら微笑んだ。 「大学生になっても、あの調子だもんなぁ」 「でも、大きくなりましたよね。まさか、もう大学生になっちゃうとは。俺も年をとるわけだ」 「やだ。戸坂くん。それを言うなら、私も…」
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