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俺の向かい側に親父が座り、頬杖をついて俺を見つめた。俺は白飯を食べながら、視線を感じて親父をチラッと見ると、
「え?な、なに?」
と言ってみた。親父はフッと微笑んで、
「…お前が警察官か。…感慨深いなぁ」
と嬉しそうに目を細めた。
「目標は?あるのか?」
「…あんたを超える!……とか?」
「俺を?…いいねぇ」
「早く刑事になって、上に上がる!」
「…自分の力で、出来るか?」
「できる!何もすんなよ。それから、俺とあんたが親子だってことは伏せて。知ってるやつにも口止めしといて。人事にも…」
「大丈夫。お前のデータは閲覧禁止にしてる」
親父は得意げに言うと、母さんがそばに来て親父にはホットコーヒー、俺には熱いほうじ茶を入れて来てくれて、マグカップを俺の前に置いた。
「それって、逆に危険人物扱いじゃないの?」
そう言って母さんが親父の隣に腰を降ろすと、親父は笑って首を横に振った。
「まぁ、逆に怪しまれるから、データは少しいじってる。たまにそういうことにつけ込んでくる奴とかいるからな」
「抜かりないわね、そういうとこ」
「みんな、のし上がるために、余計なのは蹴落とすっていう輩が多いからな」
「くだらない」
俺は構わずにご飯を全部平らげて行くと、母さんは微笑んで俺を見つめた。
「大地、かっこいい」
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