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❁ Ⅻ ❀✿❁❀ ✿
―
「 … うん …
じゃ これもね … 」
「 はい …」
先生の云うとおり
責任者はリストを纏め
それは流れ作業の様に
私のプロフはスグ 閉じられた …
―
私 美しくなりたくて …
メイクしたりカラダを整えるのは
" 自分磨き ” で
それは ただ
自分を高めるための
その中の そのひとつ だけの事 …
だから …
これは チガウ
―
… ん? この僕から
声かけられたら
嬉しいんじゃないの?
君みたいな娘はさ …
 ̄
… 勝手に決めるな! …
―
「… これ 呼び出すときの
僕の番号だから …」
―
…ザワザワ…
…ザワザワ…
…ザワザワザワ…
「 ねぇ! 着替え終わった?
次の出番までは
どのくらい?」
「 はい!
あと20分です」
「 … そう …」
…パン! パン…
ココでは …
" この女性責任者の
手をたたく音 ” が 合図で …
ギュウギュウ詰めの
バックヤードの控室に
この責任者は2歩 3歩進み …
それは
立ち姿が勇ましく 隙も無く
凛としているから …
そこから発せられた声は
強く 美しく 控室中に響く …
「 さ! みなさん 急いで
整えてください!」
「 はい!」
「 はい!」
「 はい!」
「 はい!」 …
…バタバタバタ
…バタバタバタ
…バタバタバタ
…バタバタバタ …
今日は
先生の作品の発表会1日目
その 作品を来場者のお一人お一人に
みていただくために
集められた 私たちは
先生の 駒の様に 動かされる者たち
今日から4日間
新作発表会は ココで行われる …
その 仕事をする為に
その 駒たちが集められている控室では
先生の作品をちゃんと見て頂くために
それぞれが 自分たちの
仕事の準備をしているけれど
ココに集められた駒たちは
その仕事以外にも 先生を喜ばせるため
の 事にも 努力する? …
そう …
先生の作品がより良くみえる様に?
私たちは先生によって選ばれた者たちで
それをプライドにココでは
自分たちの美しさにも磨きをかけ
控室では皆さん 自分のカラダ その
顔を美しくメイクしていく …
それを 先生は …
離れた自分専用の控室から
この施設の中 いくつも設置済み の
camera を通して チェックしている
それを …
私たちは承知しているし
その様に先生に扱われても
私たちは それが仕事だから …
たとえば
ココの施設内ならどこでも
表の会場だけではなく 女性トイレ前の
通路 控室 の バックヤードまでも
どこに居ても
先生からだけではなく
たとえ誰からだって
" あ! さっき出てた人だ “ っと
その好奇の目? で 見られても
私たちは 駒だから
それは 文句は言えないけれど …
ココでの駒は 分刻みで管理され
それでも急に先生に呼び出され
動かされる …
先生に指示されるままに
盤上で動く 無心の駒の様に …
°˖✧*.✧˖°
私たちは 先生に選ばれたのだから
この先生のその勢力下にあって …
それぞれを個々に見れば
まだ なにも力のない者たち
かもしれないけれど …
なら …
この先生に 選んでいただいたから
こんな大きな輝ける場所に立つ事が
できている だけ だから?
けっして驕ることなく 素直に
先生の手のひらに 皆 乗せられて …
その中から また 選ばれた者がその指
で 挟まれてお客様が待つ表に出される
そ! この先生しだい で
だから …
その出番を待つ
駒たちは
皆さん 個々に違う 人 なのに
その駒になるのを嫌がらずに
もちろん? 控室でも
先生に視られているのを知っている
から?
控え中でも 力を抜く事もなく
並ぶ たくさんの駒の中から
自分が 目立つ様にと
華やかに
明るい表情で
モチベーションアップして?
鏡の前で自分に磨きをかけながら
皆さん 嬉しそうに 和やかに
そのつくられた笑顔を絶やさず
姿勢を正し ちゃんと 整えている
それ も? なんか 不思議 な 私
この空間は
表ではなく控室なのに?
なんで こんなに 自分を抑えて?
緩むことなく? 常に 準備万端
ゼンゼン 気を抜く事もなくって
それじゃぁ …
緊張したままで 息苦しいのに?
なんで? 皆さん そんなに …
あ … 皆さんて 謂っても …
髪形も同じ 体型も で …
上げる口角の角度も同じ メイクも同じ
それで 全員 同じ様な 笑顔で?
そんなに 自分をなくしてまで
つくるの って …
―
…パン! パン…
「 次の出番! 15分前!
呼ばれた者 集合して! 」
「 … はい!」
「 はい 」
「 はい …」
「 はい 」 …
―
これが お仕事だから?
でも私
こんなふうにされてっ て …
私は
こんなんて
知らなかったから
これじゃぁ … もう
自分の顔を見るのも嫌で
ココには そのために
個々に用意されてた
鏡が あっても
目の前 座った正面にあるけど …
―
…パン! パン…
「 さ! みなさん 急いで
整えてください!」
…ザワザワ…
…ザワザワ…
…ザワザワザワ…
―
はい そう です …
いざ 会がスタートしたら
分刻みにあおられて
焦ったワタシは
鏡を覗き込んで
自分以外視界に入らなくて …
だから
両隣の人の気配だけで
周りは見えなくなって …
そんなに も " 秒刻み ”
で 皆さん動くから
慌ただしくて …
ザワザワ感だけは カンジ る から
ミョウに私もそれで
その世界に入っちゃってて …
この異様な? 雰囲気に負けて また
同じ様に流されて た けど …
でも なんか …
これ 女性だけ なのって …
べつに … 女性だけでも だけど
新作発表会の
駒は べつに 女性でなくても …
だからもう それも そう思ったら
私 なにかの糸?
プツン! って キレ て …
この鏡 覗き込む気に なんて
なれない …
だって …
ココでの仕事の流れは
今日までに 何度もココを使って
繰り返されたから 皆さん できるけど
なに事も?
滞る事もなくスムーズに?
これ …
その時は私 先生の目も べつに
気にならなかったし
ミラレテても
なんとも思わなかったけど …
それに 女性たち だけでも
その時は別に … だったけど
なにもかもが? 誰もかれもが?
ちゃんと していて …
先生の思い通りに動いていて
皆さん " 選ばれた者らしく ”
美しく 華やかに 活き活きと …
でも …
私 …
それが 作られ過ぎてて
不自然過ぎて そんなにする?
必要あるのかなって …
うん …
女性が美しさを追求するのは
その人がそれを望んでいるなら
ステキな事だと思うけれど
私も 美しくなりたいし
それを求めて努力するし
だから
この仕事 引き受けたのは
私 自分で 決めた事なのに
なんだか いまになって
ココ …
女性だけが この仕事をしている
違和感 すごく カンジ て …
そう!
ほかの先生たちは ご自分たちの会
の staff 集めには 女性だけじゃなく
て 男性たちだって もちろんいて!
しかも staff をこんなに?
着飾らせて 発表会はしないし …
ココの皆さんは
先生の作品を見てもらう仕事を引き受け
たはずなのに
なんだか 特別に 皆が 先生のために
美しい駒になろうとしている様な?
気がしてきて …
駒は
作品を見て頂くための駒なのに ?
その駒を懸命に務めるだけじゃ …
ダメなのかなって 私 不思議で
だから私は 先生の作品のために
この仕事をしているのだから
作品のために自分も美しくなる様には
務めるけれど
それ以上には
私は香り立つ事もせず
たくさんの駒に紛れて
正しく 皆と同じ様に動き
ちゃんと 作品を目立たせて
" 個 ” では目立つことなく
ココの流れを乱さずに 主役じゃ
ないから
大人しめに控え目にしていて …
って …
そんなカンジの 私は
それで良いと思っていたけど
違うのかな
なん? これ …
…ブーブーブー
…ブーブーブー
「・・・・」
ねえ? な に?
これ … ど … す る?
本日の最終回が終わり …
皆 帰り支度をしている最中に
まるでそれは合図の様に? 先生は
スマホ鳴らした の だけど?
…ブーブーブー
…ブーブーブー
しかも まだ
始まったばかりの?
初日だけど …
で これ? って
ゃ! 驚く …
「・・・・」
??? ??? ???
もしかして 私 … の?
こんなカンジの態度?
悪い? かな … だから?
なんか … 悪かった?
私 なに? しでかした?
でも?
したつもり は ないし …
…ブーブーブー
…ブーブーブー
んんん? これ …
ほんと? 私に?
しかも この時間?
仕事が終わって からの?
「・・・・」
て? …
…ブーブーブー
…ブーブーブー
これ … 突然 で …
なんの前触れもなく?
" 先生からの電話 ”
誰からも
なにも云われないまま?
なのに …
いきなり
スマホ鳴らされても …
…ブーブーブー
…ブーブーブー
… どうしよ …
これ … 恐い よ …
「・・・・」
え----- ?
この番号は さ …
この日の朝 知らされてたから
先生からだって判るけど
それ …
この番号を この初日 の 朝!
先生から メモで知らされた …
ばっかりじゃん …
―
「… これ 呼び出すときの
僕の番号だから …」
―
から?
アノ時が?
この? 前触れ? 前置き?
ダッタ の かな …
ダッタとしたら
ただ … 「はい!」 って
私 返事しちゃったけど
その一言だけで この
メモ 渡されただけだし …
それ … なら?
解りづら ぃ …
" 呼び出す ”
て … どうい う? …
だって 謂われたまま …
私 なにも気にせず
メモ 受け取って
ただ 先生の番号
スマホに入れた けど
「・・・・」
だって …
業務連絡の? って!
思ったから? だけど
だから この時間 なら …
もう … 違う よね? …
…ブーブーブー
…ブーブーブー
え? それに …
「・・・・」
そうじゃん …
ただの駒の私に なんて?
直接先生が? なんて …
だって 私たちになら
そう!
責任者 の 方から!
なら分かるけど …
そうじゃん …
こんな事 …
だから やっぱ
変 じゃん …
「・・・・」
―
「… これ 呼び出すときの
僕の番号だから …」
―
ん? で? もしか …
私 それで 往ったら?
こんな私なんか じゃ
先生 大物すぎてて
なにもできないし
なにして善いのか判らない …
え-----?
だって …
そうじゃん
先生は すごい方
なのにぃ? …
そ う でしょ?…
恐くて 近寄れないくらいじゃん!
もちろん この先生は
お仕事がおデキになって …
だから発表会だって こんなに 大規模
に行われて たくさんの来場者も来て
この作品を この日までに ちゃんと
造り上げる ためにダッテ 先生は
その指先から 血が出るくらいまで
手を加えて …
だから こうして
ちゃんとした作品になって …
だから先生は
皆さんから支持されて …
こうして 皆さんが集まり
先生の作品を
優れた秀作として認めて
他と比べれば
高額でもある のに!
今日も
多くのお客様が
この作品一つ一つを
選び 求めているけれど …
そうだから でも …
ぇ-------!
これ?
でも 私は
頭の中 とっ散らかってて
こんな事
ココの こんな密室の中では …
だって もう いまさら?
かも? だし? だれかになんて
上手く 切り出せない
「・・・・」
…ブーブーブー
…ブーブーブー
私 …
言えないけど!
だけど それでも私は
鳴らされても 鳴らされてても!
先生の処には 往きたくない …
「・・・・」
…ブーブーブー
…ブーブーブー
… ど し よ …
だんだん …
息苦しくなる!
もう やめて ほし ぃ …
「・・・・」
…ブーブーブー
…ブーブーブー
ぁ… まだ だ …
え-----?
先生が平気でこれを
続けているのなら?
先生のお仕事では …
これが? もしかしたら?
普通なのかも しれない?
だから
ずっとされてるのかも?
…ブーブーブー
…ブーブーブー
「・・・・」
私は ココで ひとりだけ
目を伏せ 無表情になり
対処? 善処? できないから!
そう …
されてる事に 抵抗? して
… どうせ いまも
先生に 視られているから …
…ブーブーブー
…ブーブーブー
「・・・・」
それにこれ …
バイブ音だけど
周りにも聞こえているはずなのに ?
不思議 …
こんなになのに?
誰も? なにも言わない …
なら …
皆さんはこれ …
この時間にスマホが鳴りだすの
先生からだって? 知ってるの?
じゃぁ 私 …
このまま いつまでも
鳴らしっぱなしで
そう 私がしていたら
いままで 無反応だった
両隣だけじゃなく
ココの皆さん
ど かな?
ぁ-------!
" お願いしま ----- す!”
これに気づいた皆さん が !
いままでと?
チガウって思って?
皆さんが それで
いつもと?
チガウ 動きになったら?
で?
この中にも?
私 以外にも
これが " チガウ ” と 思う人
ココに居るかもしれないから!
それ みつけるために…
…ブーブーブー
…ブーブーブー
「・・・・」
…ブーブーブー
…ブーブーブー …
… だから いまも
鳴り続けている私のスマホ …
それで? とうとう
今までは無反応だった
私の隣のコが やっぱり反応した
「 … ねぇ … なんで …
出ないの ? それじゃぁ …
自分から " 敵 ” 作るよね …」
??? ??? ???
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