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⑫
「それに、熊五郎さんは気が遠くなっていく最中で、『どうして他人の名前を聞かされないといけないのか?』と、首を傾げることになりますよ。
また、『ドンと逝け』と励まされたところで、どうしたらそんな逝き方ができるのか、わからないでしょうね。
おそらくは、これらのことが気になって逝くに逝けない状態になるでしょう」
「『ゆけゆけ』言われると『逝くに逝けない』……素直じゃないところが、まさに熊五郎ということね」
「うーん……そういうことなのかなぁ?」
「さあ、ハイ、ではでは左くん、この度のやり取りを振り返ってみましょう(>▽<)ノ。
いかがでしたか? わたしが最初に言った慣用句の真実性が、ある意味証明されましたね♡」
「(⊙ω⊙)はい?」
「主要人物が『くまさん』つまりは熊五郎という名前だったばっかりに、こんなストーリーをイメージせざるを得ないわけです」
「『名は体を表す』ですか……うーん、この度の私たちのこのやり取り、何かが間違っていますよね?」
「え、そーう?」
「何だろう? この後味のもやッと感は?」
「あ、あ、そうか! わたし、わかっちゃったわ。大事な部分が抜けていました」
「司さん、それは一体何?」
「名字がありませんでした。熊五郎の名字ですよ! えーと、そーねー……“森野”にしておきましょう。そうなると、脳裏に浮かぶビジョンがまた違ってくるかもしれません」
「……森野熊五郎……大して変わらないと思いますよ?」
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