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⑧
「司さん、そこは『心配』というよりも好奇心ではないですかね? 怖いもの見たさとでも言いましょうか、そんな心理が働いて、ゆっくりと近づくのでしょう」
「『怖いもの見たさ』かぁ……わたしにはないわぁ。左くんにはあります? 怖いのに見たくなる、なんてこと」
「うーん……じっくりと考えたことはないのですが、頻繁に司さんと会ってしまうのは、まさにそれと似た心理が働いている結果なのかもしれませんね」
「むッ、なにそれなにそれ! わたしのどこが怖いのよ!」
「あー、怖くはないか……じゃあ、一体どうして私は司さんに会ってしまうのでしょうね?」
「うふ♡ 左くん、それを“恋”ってい――」
「あ! そうか! わかったぞ!」
「わたしの台詞を遮るように叫びましたね?」
「ああ、ほら、あれです。脱いだ靴下に、つい鼻を近づけて臭いを確認してしまうことってあるじゃないですか。臭いとわかっているのに、なぜかそうしてしまう……それに似ていますね」
「な、なにぃぃ!!」
「あれ? 怒っちゃいました?」
「怒るわ! わたしゃ蒸れた靴下かい!!」
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