後日談 君と歩む道 7

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 それからも、海辺での生活は続き。  時には外の世界へも旅をした。今は海沿いの道を、車でひた走っている。久しぶりの遠出だ。  俺の傍らには、いつもヴェントがいる。  そして──。  ふと気配を感じて振り返ると、笑んだ彼がそこに腕を組んで座っていた。  きちんと髪が風になびいでいるのが凄いと思う。まるで、本当に生きているのと変わらない。 「んだよ、またいんのか?」  振り返ったままの俺に、ハンドルを握っているヴェントは、正面を向いたまま、そうぼやく。 「いいだろって。俺だって旅を楽しみたいんだってさ」 「ったく。言っとくけどな、俺とソアレの邪魔だけはすんなよ? アステール」 「あ、消えた…」  ヴェントは舌打ちする。 「あいつ…。こっちが落ち着かねぇんだよ」 「気にしなきゃいいだろ? 別にアステールに見られたってさ」 「俺は嫌なんだよ。てか、たまにあいつが乗り移ってる気がしてな…」 「あ! それ、俺もたまに思う…」 「あぁ?」 「なんか、こう、してる時…。あれ? って…」  俺がしどろもどろになって答えると。 「マジかよ」  ヴェントは髪をかき上げる。  そうなのだ。ヴェントに抱きしめられている筈なのに、ふと、気配にアステールを感じる時がある。  ヴェントは宙を睨んだまま。 「おい、アステール。聞いてんだろ? 勝手に俺の身体使うんじゃねぇよ。…まあ、たまになら仕方ねぇが…」 「え? いいのか?」 「嬉しそうな顔すんなよ」 「違うって。驚いたんだよ。お前、そういうの嫌だろ?」  するとヴェントは苦笑して。 「相手があいつじゃな。敵わねぇだろ? それに、この世にいる奴じゃねぇからな。…それごと、お前が好きだって言ったろ?」  ぽすりと大きな手が頭上に降ってくる。俺は溢れだす感情が収まらず。 「ヴェント。大好きだ…」  運転席に座るヴェントの側へ身を乗り出し、その頬へキスをした。  これからも時は流れていく。  いつ、その生が終わるかは分からない。  けれど、それまでは──。 「っまえ、運転中にあぶねぇだろ?」  言葉とは裏腹に頬を赤くするヴェントがいる。 「お前がそんなことで動揺するなんて、思えないな」 「動揺するに決まってんだろ? …好いた相手なんだからな?」  大きな手が、頭を胸元へ引き寄せる。 「ん」  その広い胸に身を預けながら、目を閉じた。  これからも、この傍らに寄り添う男を、生きている限り愛し続けるだろう。  それでいいんだろ? アステール…。  ふと、一羽の水鳥が視界を横切った。潮風が頬に心地いい。  目の前には、深く蒼い海と、高く広い青空が広がっていた。 『俺は何があろうとも、お前と共にいる。愛している。ソアレ──』 ー了ー
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