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銀集う世界 ―君の死の意味が消えた未来で-
かつてこの村には、木の棒すらもてない病弱な少年がいた。
けれど、その少年は頑張って強くなり、世界の脅威を取り払うまでになった。
しかし、その少年は今はもういない……。
ねぇ、お話しよう。
こうして会いに来るの、久しぶりだね。
私までこの村から出て行っちゃったから、お墓の管理する人いないのかな。
君は敵が降らせた銀光の弾幕に突撃していって、消えてしまったらしいね。
君の仲間からは相打ちだって聞かされたよ。
名誉ある死だと皆は褒めたたえるけど、納得できない。
どうして生きてくれなかったの?
世界が良くなるよりも、君が生きてくれる方が、ずっとよかったのに。
帰ってくるっていったじゃない。
私がいるこの場所に。
私の存在って、この場所の存在って、君にとってそんなに軽いものだった?
生きるために、頑張ってくれるほどのものじゃなかった?
あれから、何年も経ったけど。
結局その敵は復活してしまったらしいよ。
多くの分身が、生まれて育っているって。
無駄死にだったなんて嫌だよ。
私は嫌だけど、君の命と引き換えに平和な世界が残ったなら。
まだ良かった。
私は良くないけど。そこに意味があったのなら。
それなのに、まるで無意味だったなんて。
そんな世界になってしまったから、死んでしまった君の復讐をするために、私は剣をとったよ。
この手に。傷だらけの手に。
ほら、無意味どころかマイナスになちゃってる。
たくさん傷も負ったよ。
危ない目にもあったよ。
だから。
だから、
これだけのものが、幸せが消えていったんだから。
最後に頑張ったご褒美くらいほしいな神様。
もしその時が来たら、一目で言い。
会いたい人に会わせて。
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