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高砂陸
白く滑らかな四人がけのテーブルに、パステルカラーの椅子。それが広々としたフロアに十セットほど配置されたこの場所は、閲覧室と掲げられているものの、実際は学生たちの自習室と化している。
その一角で、高砂陸は向かいに座る、明るい茶髪の女子を睨みつけていた。
同じ高校の生徒が少なく、かつ蔵書の多いこの図書館にわざわざ足を運んでいるのに、何が悲しくて学年一目立つギャルが正面を陣取っているのか。
しかも、図書館の本を開き、借りもせずにスマホでパシャパシャと写真を撮っていてうるさい。
高砂が我慢の限界に達しようとしたとき、彼女がふと顔を上げた。
「ごめんね、うるさかった?」
わかってんなら自重しろよ、と口には出さずも、答える声は自然とぶっきらぼうになった。
「別に。つーか借りれば」
高砂の返事に気を悪くするふうもなく、彼女はうーん、と困り顔をした。
「これ、家に持ち帰りたくないんだよね。あと少しで終わるから」
許可もとらずに再び撮り始めた彼女に、聞こえるようにため息をつき、高砂は問題集に目を落とした。
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