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そのうち、僕が降りる駅になった。ミサトは立ち上がっていた。同じ駅だったんだ。
じゃあ引っ越していない限り、ミサトはまだあの団地に住んでいるのだろうか。
でもとにかく、これで確信を持てた。僕はミサトに続いて電車を降りたあと、思い切って声をかけた。
「……ミサト!」
「え?……え、嘘、ハルト?!すごい、久しぶり……!」
覚えていてくれた。体温が急激に上昇していく。
「まさかこんなとこで……」
ミサトは昔と全く変わらない笑顔で僕を見た。僕は改めてミサトが目の前にいることに、何と言っていいか分からなかった。
「時間ある?……ちょっとどっかでお茶でも飲まない?」
僕たちは駅を出た。灰色の空から、糸のような雨が降り出していた。そこですぐ近くのカフェに入った。客はまばらで、僕たちは窓際の席に座った。
外を見ると雨は強まっていた。この雨が止まなければ、と僕は思う。
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