ショートショート【再会】

2/7
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
そのうち、僕が降りる駅になった。ミサトは立ち上がっていた。同じ駅だったんだ。 じゃあ引っ越していない限り、ミサトはまだあの団地に住んでいるのだろうか。 でもとにかく、これで確信を持てた。僕はミサトに続いて電車を降りたあと、思い切って声をかけた。 「……ミサト!」 「え?……え、嘘、ハルト?!すごい、久しぶり……!」 覚えていてくれた。体温が急激に上昇していく。 「まさかこんなとこで……」 ミサトは昔と全く変わらない笑顔で僕を見た。僕は改めてミサトが目の前にいることに、何と言っていいか分からなかった。 「時間ある?……ちょっとどっかでお茶でも飲まない?」 僕たちは駅を出た。灰色の空から、糸のような雨が降り出していた。そこですぐ近くのカフェに入った。客はまばらで、僕たちは窓際の席に座った。 外を見ると雨は強まっていた。この雨が止まなければ、と僕は思う。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!