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ミサトは何も悪くないと何度言っただろうか。あるとき不意に「私、ハルトの分まで頑張るから」と言ってくれてどれほど安堵したか分からない。
「ハルトがいたから頑張れたんだよ。まだ報いきれてないけど」
「そんな……僕なんて」
「それに比べて……私って最低。こんな罪どうやっても滅ぼせないのに……ごめん」
ミサトはそう言って笑った。その笑顔を見るのが今は死ぬほど辛い。僕は俯いた。何も言えなくなった。ミサトはそんな僕を乞うように見る。
「お願い、私のことなんか忘れちゃって。私なんか嫌って」
「なんでそうなるんだよ……できないよ、好きだから」
「またそうやって……───え?」
気づかれた。それとなく入れ込んだつもりが。
ミサトは手にコーヒーカップを持ったまま固まってまっすぐ僕を見ている。その視線に耐えられなくなる。僕はまた俯く。頬がすごい勢いで熱くなっていく。
周りの動きがスローに見えるほど、僕たちの周りだけ時間がゆっくり流れていく気がした。
「……ごめんちょっとトイレ行ってくる」
僕は逃げるように席を立った。
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