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「ねぇ、本当にどういう神経してんのよ、アンタは」
「だって、外。こっちも予定外なんだよ」
私とマキナさんは拓海の指さす窓を見た。
ざぁっという音と、叩きつける様な激しい雨の振り方に、目を丸くする。
「すごいね。天気予報もここまで言ってなかったけど。まぁ梅雨だし」
マキナさんが、かがんで四角い窓にかかったレースのカーテンを持ち上げる。
「歩いてきた時はまだ降ってなかったよね?」
のんびりコーヒーを口に運ぶ拓海に訴えると、「大丈夫大丈夫」当の本人はマキナさんに視線を投げた。
「平気だって、みのり。俺らには優しい優しいマキナ姉がついてる」
「そんな、マキナさんに悪いよ」
マキナさんは手を腰に当てて、ふぅと息を吐きだすと「全く」と呆れた声で言った。
「こんな感じなのよ、みのりちゃん。拓海ってヤツはね、昔っからこう。王様のくせに、甘ったれなの」
「サンキュ。マキナ」
「最初っからそのつもりだったヤツにお礼言われても嬉しくないわ」
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