1章

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1週間前。 カツカツと長い長い宮殿の廊下を歩く。 私の名前はセツナ・エンライ。 アルバス王国、王国軍大佐を務めている。 エンライ家は代々軍人の家系であり、父は大将、兄は准将だ。先々代のエンライ家当主の功績が認められ当時の王から伯爵の爵位も頂戴している。 しかし、女の私が軍人になる事を父も兄も反対した。 ノックをして、豪華な装飾が施された扉を開けると2人の男性が私を待ち構えていた。 「遅い。いつまで待たせる気だ」 開口一番私に向かって文句を言ってきたのは、シャリマー・コーネリアス。シャルの父はアルバス王国の宰相であり、彼もその跡を継ぐべく宰相補佐として働いている。 そして何を血迷ったか、こいつはまだ私達が幼い頃に親同士が勝手に決めた婚約者である。 「おいおいシャル、そんなに待ってないだろ?」 「ライナスはセツナに甘過ぎるんだ」 ライナスはアルバス王国の第1王子で王位継承者。彼はいつも国民の事を考え、誰からも慕われている。 私達3人は親の世代から続く幼なじみだ。
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