1章

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ライナスが出て行ったあと、シャルと2人で潜入の計画を立てる。 「幸いにもゴールドコーストはドレスコードもある高級カジノ。仮面の着用をしていても怪しまれない」 「ま、表立っては遊びづらい人もいるからね」 「そういうことだ……まずは潜入しているスパイに体調不良を訴え、バックヤード近くの別室に案内させる。そして倉庫の警備をお前が気絶させるんだ」 「気絶って大分古典的なやり方ね」 宰相補佐の考える作戦としては粗いような……。 「出来ないとは言わせない。王国軍の大佐は名ばかりか?」 「……いや、出来るけど」 いちいちカンに触る言い方をするな。 「私はその間にロックを解除する」 「暗証番号はどうやって手に入れるの?」 「潜入までの間にゴールドコーストのセキュリティシステムをハッキングする」 「……それこそ出来るわけ?」 私には無理難題過ぎるが……シャルは昔から天才と呼ばれる程頭が良かった。 「出来る」 「分かった」 シャルが出来ると言って、出来なかった事は1度もない。そこは信頼している。 「10分で全てを終わらせるぞ」 「……」 私は頷いた。 カジノに着ていくドレスも準備しなければいけない。一応伯爵家の令嬢とは言え軍人になってから式典は全て軍服で出ていたからな。 軍服は私の誇りだ。
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