1章

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「セツナ……当日お前が着るドレスは私が手配しておく」 「別にドレスくらい自分で用意出来るけど」 シャルは訝しげに私を見た。 「よく言う。子供の頃、私の誕生パーティーにドラゴンの着ぐるみで来ただろう」 「……いやそれは子供の頃の話でしょう?」 それに当時シャルがドラゴンの絵本を好んで読んでいたからだ。まあ父には物凄く怒られたけど。 「私は、お前のセンスを全く信用していない」 「……そう」 まあ用意してくれると言うならば素直に従っておこう。 「では1週間後ね」 これ以上シャルと話す事はない。そのまま部屋を出て自分の執務室へと向かった。 父と兄は私が軍人になることを反対したけれど……それ以上に反対したのはシャルだった。 【許さない。軍人になるなんて絶対に許さないからな!】 「……」 もう10年も前の話になる。 その時に婚約も解消すれば良かったんだ。 解消はいつでも出来るけどタイミングを掴めずダラダラと今に至っている。
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