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執務室に戻ると直属の部下である、エース・キルソン大尉が話しかけてきた。
「ライナス殿下に呼び出されたとお聞きしましたが」
「ええ」
ギシ、と椅子に腰をかける。
「一体今度はどんな任務を言い渡されたんですか?」
「……シャルと共にゴールドコーストに潜入する。ドラッグの売買の疑いがあるの」
「え、羨ましい。オレ1度行ってみたかったんですよね~」
エースはとても頼りになる部下の1人だけど少々楽観的だ。
「じゃあ、エースが代わりに行く?」
「絶対に嫌です。シャリマー様のあの冷たい視線に耐えられないです」
「正直に言い過ぎでしょ……でも潜入する前に1回見に行きたい」
実際の雰囲気や物の配置を頭に入れておきたいし。
「あ、じゃあこれから行きますか?」
「これから?」
「はい。オレと一緒に。思い立ったら即行動です」
「……」
確かに、決行日は1週間後だ。早く見に行った方が良い。
「でもドレスコードがあるの」
「なら、行きがてら買えば良いですよ」
それも……そうか。
今回は完全にただの客として行くわけだし身構える必要はそこまでない。
「分かった、行きましょう」
「地獄の果てでもお供します」
その言葉に思わずふ、と口角が上がった。
「頼りにしてる」
「はい」
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