ライラック

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しとしとと雨が降っている。 私は黙々と歩き続ける。 すると、傘のワンポイントの黒猫が 街路樹の方に動いてた。 私は街路樹の下で咲いている紫陽花に 目が向いた。 そう言えば紫陽花の花言葉は 移り気ってあったっけ。 そう、私が悪いんじゃない。 新しい彼女がどんな人か知らないけれど ただ彼が変ってしまっただけ。 ・・・・・・・ 「彼女はきっとすてきな人なんだろうなあ・・・。」 私は傘をくるりと回す。 ワンポイントの黒猫は、また私の目の前。 そんな黒猫を指でつついて (うん、分かってる。今だけ。 家に帰ったら、お風呂に入って お気に入りのハーブティーを入れて・・・) そう心の中でつぶやいて、 私は立ち止まった。 黒猫がハーブのお店の方向に向いていて ウィンドウには色々なハーブが ディスプレイされていた。 ハーブには花言葉が添えられていた。 (あ、ライラックのハーブ・・・紫のライラック。 ええと意味は『恋の芽生え』?) 私は傘の黒猫を見やった。 (あなたは魔女の使い魔なの? 私に彼を忘れてもう新しい恋に踏み出せと言うの?)
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