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「えっ?」
ただ単に食事についての希望を言っただけなのに、律顕から予想外の答えが返ってきて、美千花は物凄く戸惑って。
「嫌、じゃ、ない、よ?」
でも抱きしめられたり近付かれたりするのは堪らなく嫌だったから、語尾が曖昧に揺れてしまった。
「じゃあ久々に君のこと、ハグさせて? 美千花、この所ずっと、僕のこと避けてるよね?」
「あ、あのっ」
図星だったから。
美千花は何も言えずにうつむいた。
「お願い、美千花。君から来て?」
腕を広げる律顕に、美千花はどうしても歩み寄ることが出来なかった。
あんなに居心地が良くて大好きだったはずの律顕の腕の中なのに。
今はただただ嫌悪感が込み上げてくる。
泣きそうな顔をして眉根を寄せた美千花に、律顕が悲しそうな顔をして。
「ごめん。しんどいときに無理強いしたね……」
言って、くるりと背中を向けて。
「少し頭、冷やしてくる。美千花は気にせず寝てて?」
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