2.信じてたのに

6/11

1501人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
***  蝶子(ちょうこ)と別れて真っ直ぐ家に帰ろうとした美千花(みちか)だったけれど。  天気も良いし、幸いつわりの症状も重くない。少しだけ遠回りをしてみようかな?と言う気持ちになった。  何より、こんな不安な思いを抱えたまま家に帰りたくなかったのだ。 (歩きながら気分転換しよ)  フルーツや桃缶など、食べられそうなものを買って帰るのもいいかなと思って。  会社の近くの商店街に小さな八百屋があって、そこのフルーツが新鮮で安価なことを思い出した美千花だ。 (スーパーに行くと人に酔っちゃうし『やおまさ』でアレコレ買って帰ろ)  『八百屋やおまさ』は「八百屋」と冠しているだけあって、小さな店舗ながら野菜や果物が種類豊富なだけでなく、パンや缶詰やちょっとした調味料など、結構八百万(いろいろ)置かれている。  八百屋と聞いて思い浮かべる青果店というイメージより、どちらかと言うと商店に近い感じ。  最近は多くの店でレジ袋が有料になったけれど、美千花の記憶が正しければ『やおまさ』はまだレジ袋も無料のままなはずだ。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1501人が本棚に入れています
本棚に追加