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ならば、と朝話し掛けようとしても、
「ごめんね、今、仕事が立て込んでるから早めに行かなきゃいけないんだ」
そんな風に言われて、朝食も食べないまま逃げるように会社に行かれてしまう。
律顕が自分に構ってこない状態は、かつて美千花自身が望んだことだったはずなのに。
いざそういう状態になってみると、美千花は堪らなく不安になった。
今現在、つわりは徐々に落ち着いてきている。
だけど、元々ストレスに強い方ではない美千花は、このところ胃痛と不眠、動悸や息切れに悩まされるようになっていた。
律顕が嫌がるから早めに床に就く様にはしているけれど、誰もいない部屋の中、薄暗がりでベッドに寝そべっていると悪い想像ばかりが膨らんでしまう。
「律顕」
抱きしめられるのは今でもやっぱり躊躇われてしまうけれど。それでも顔を見てちゃんと話したい。
そう思った。
***
先の妊婦健診から丁度四週間。
妊娠週数も十三週目の半ばを超え、つわりの症状も大分緩和されてきた。
そんな中、美千花はひとり二度目の健診のため、総合病院産科の待合いにいた。
律顕は先の健診同様、病院に付き添ってくれると信じていた美千花だったのだが。
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