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「蝶子――受、付の奥、田さんから、今日は律、顕、お仕事休ん、だって……聞、いたよ?」
ベッドの中。
点滴の薬液がポツン、ポツンと落ちるのをしばらく眺めてから、意を決して口を開いたら、律顕が息を呑んだのが分かった。
「美千花」
「この所、ずっと私を、避け、てたのと、関、係あったり、する? 今日、本当は、何をして、たの?」
一息に話したいのに、喉の奥がヒリヒリと焼け付いたみたいに途切れ途切れにしか言葉を紡げない。
だけど、言いたい事はちゃんと言おう、聞きたい事はちゃんと聞こう、と決意した美千花だ。
じっとベッドサイドの律顕を見上げたら「ごめん」と一言返されて。
「律、顕?」
それが何に対する謝罪なのか分からないままに律顕を見詰めたら、ふいっと視線を逸らされてしまう。
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