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律顕とのすれ違いに、胃の辺りがキリキリと痛んだ美千花だ。
でも我慢出来ない程ではなかったし、何より辛いと訴えて処置を求めてしまったら、律顕との関係が破綻しかけていると認めることになってしまいそうで怖かった。
胃痛に耐えながら布団の中で縮こまっていたら、いつの間にかうとうとしていたらしい。
「――永田、美千花さん?」
カーテンの向こうから窺うように声をかけられて、美千花は目を覚ました。
夢現、ぼんやりとした頭のまま「……はい」と答えてから、少し遅れて(誰だろう?)と思って。
「西園稀更です」
そう名乗られて、一気に覚醒した。
「入っても?」
稀更の凛とした声音に、寝乱れた格好のままなことに気後れして戸惑った美千花だ。
きっと仕切りの向こう。
彼女は記憶の中にある通り、キチッとスーツを着こなして身綺麗にしているに違いない。
でも、律顕が不在の今、稀更に話を聞けるのはチャンスかも知れない、とも思って。
「どうぞ」
どうせ入院中だ。
少々の不格好は、相手も目をつぶってくれるだろう。
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