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「また散歩か、雫……。」
少し低い声。さとみくんとは全然違う声。何度も私を呼んでくれた声。
「翔太さん……っ、」
不思議と私の症状を軽くしてくれる人。
「まーた泣いてるのかよ…泣き虫っ、」
「泣いてると翔太さんがみつけてくれるでしょ?」
真っ暗闇の中でたった一筋の光……それが翔太さんだった。
さとみくんもいるけどさとみくんとは何かが違う。
その何かはまだ分からないけど何かが違うのは断言出来る。
「また倉庫いくか?」
「行きたい!!」
「ふっ、ガキみてぇ」
「んなっ!」
行きたいって言っただけなのにガキみたいって言われた……。なんかショック……。
「そんなに不貞腐れるな……ちゃんと連れてってやるから。」
「ガキじゃないもん……。」
「わかったわかった……。」
そう言って頭をポンポンと撫でてくれる。
それが嬉しくて、機嫌が直る。なんて単純なんだろう?やっぱりガキだからかな?
「ふふっ」
「どした?急に笑いだして?」
「んーん、なんでもないよー!」
翔太さんといると昔の出来事が軽くなる気がするのと同時に知られたくないと思う。
なんとしてでも隠しとうさなくちゃ。
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